工具の通販モノタロウ 照明のことが分かる講座 ダウンライト器具の種類

照明のことが分かる講座

照明とは人々の生活に役立つ光の仕事のことを言います。 照明の主光源がLEDに変わりつつあるなか、照明を知ることで生活はより豊かに変わります。 そこで本連載では照明の基礎知識から光源や照明器具の種類、照明方式、照明がもたらす心理・ 生理効果を分かりやすくご紹介していきます。
第3章 照明のことが分かる講座

3-4 ダウンライト器具の種類

LEDダウンライトとは

ダウンライトは天井に穴をあけて、そこに埋め込まれる器具です。したがって器具そのものの存在をあまり感じさせないで空間の明るさを得ることができます。LEDの性能が安定してきた今日、市販されているダウンライトの大半はLED用になります。

LEDダウンライトは光源部の交換可能なものと、交換のできないタイプがあります。前者はおもに電球形LEDが使われ、ランプの寿命がきたら新しいランプに変えられます。しかし電球形LED自体、パワーが限られているので高照度を求めたいところには適しません。

後者はLEDモジュール一体型で、ごく一部の製品を除いてLEDモジュールの交換ができません。モジュール自体は光源として完成されているので、光色のバラツキも少なく、演色性も高くなっています。さらに電球形LED並みの明るさからその数倍明るいものまで種類が豊富なため、様々な建築空間に応用されています。

LEDモジュール一体型はハイパワーになるほど光束量を増やし大電流を必要とします。そのため熱が多く発生するので器具にヒートシンクを付けて熱を逃がす構造になっていますが、器具を長持ちさせるためにはできるだけ放熱のよい条件で使われることが望まれます。

ダウンライトは光源部以外に器具の埋込寸法やトリム、反射板によって様々な種分けがされます。(図1)、(写真1)

LEDダウンライトの構造

図1 LEDダウンライトの構造



ダウンライトのトリムとアルミ蒸着反射鏡が見える

写真1 ダウンライトのトリムとアルミ蒸着反射鏡が見える



埋込穴と器具高さの種類

主光源がLEDに変わってから、器具の全体の寸法は小さくなっています。例えば従来光源で約1000(lm)の明るさの出るダウンライトは直径125~150(mm)の埋込径がありました。しかしLEDモジュール一体型は器種にもよりますが100(mm)径が多いです。これを開口面積にすると、例えば125径(mm)器具と比較して65%の大きさで済みます。天井に多くの器具が取り付く空間では見え方としてこの径の差は大きいと思います。(写真2)

埋め込み穴の見え方実験、左:150φ、右:100φ

埋め込み穴の見え方実験、左:150φ、右:100φ



トリムの種類

ダウンライトの天井面に接する枠の部分をトリムと言います。埋込寸法より少し大きくなるので、見た目の器具の大きさになります。トリムの形状は丸形(リング)がほとんどですが一部で四角や長方形などもあります。トリムの素材や色も様々ですが、一般に天井面は白っぽい仕上げになるため、それと一体になるようアルミダイキャスト、もしくは鋼板に白色塗装されたものが多いです。同じ白色仕上げでもメーカによって微妙に色味が異なるので、見栄えにこだわる場合は注意しなければなりません。

またダウンライトの存在を意図的に見せるブラックのトリムや和室天井に多い木目柄に合わせた木製トリムもあります。以上の他に施工が大変ですが天井と一体化できるトリムのない(トリムレス)器具もあります。

反射板の種類

ダウンライトはトリムと光源の間を普通は反射板(別にコーンと言われる)で構成されます。反射板は通常の視野内に入ることが多いため、この部分の見え方は重要です。反射板にはおもに三つのタイプがあります。

一つはホワイトコーンと言われる白色塗装のトリムと一体化された反射板で、昼間明かりが消えているときは白い天井に溶け込んで目立ちにくいです。しかし明かりが点くと、空間は明るく快活なイメージになります。器具によっては過度に輝いてまぶしさで落ち着かないこともあるので注意しなければなりません。(写真3)

ホワイトコーン

写真3 ホワイトコーン



第二に銀色鏡面とかアルミ鏡面マット仕上げなどがあります。これはできるだけ直下方向に光が多く反射するように作られ、点灯しているときは白や明るいベージュの多い天井面に溶け込みます。(写真4)

銀色鏡面仕上げの反射板

写真4 銀色鏡面仕上げの反射板



第三にアルミ蒸着鏡面仕上げで、反射板の曲面が人の生活視線方向に光が反射しないよう計算されて器具自体がほとんど光って見えないものです。ダークライトともいわれ、落ち着いた雰囲気が得られ、特に外の夜景を楽しみたい場合、ガラス窓に器具が映り込まない効果があります。一方で空間全般は計測された照度ほど明るく感じないことがあります。

奥がホワイトコーン、手前がアルミ蒸着鏡面仕上げの反射板

写真5 奥がホワイトコーン、手前がアルミ蒸着鏡面仕上げの反射板



オプションの種類

LEDダウンライトの中にはオプションとして拡散パネルやハニカムルーバが装着できるものもあります。高効率を重視する場合はオプションなしで使用しますが、光を拡散させながら影を柔らかくしたり、眩しさを抑えたりしたい場合に装着します。

執筆: 執筆: 中島龍興照明デザイン研究所 中島龍興

『照明のことが分かる講座』の目次

第1章 照明の基礎知識

第2章 光源の種類と特徴

第3章 LED照明器具の選び方

第4章 照明方式

第5章 照明の視覚心理・生理

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