照明のことが分かる講座

照明とは人々の生活に役立つ光の仕事のことを言います。 照明の主光源がLEDに変わりつつあるなか、照明を知ることで生活はより豊かに変わります。 そこで本連載では照明の基礎知識から光源や照明器具の種類、照明方式、照明がもたらす心理・ 生理効果を分かりやすくご紹介していきます。
第1章 照明の基礎知識

1-6 白色光源の色温度

白色光源とは

照明ではよく「白色光」と言う名称が使われます。太陽の光や青空光は白色光です。またキャンドルや白熱電球・蛍光ランプなどの人工光源も白色光を放ちます。このように私たちが日常的に浴びている光の大半は白色光になります。 白色光に対してネオンサインの赤・青色などの光やイルミネーションで使われる色のLED光は有色光と言っています。

でもここで不思議に思われませんでしょうか。太陽や蛍光灯の白い光は白色光と言われても分かりますが、キャンドルの光は橙色っぽく、また青空光は青っぽく見え、何故それが白色光なのか、という疑問です。

このことについては光の3原色の加法混色で説明すると分かりやすいかも知れません。光の3原色とはR(レッド)G(グリーン)B(ブルー)の色光です。これらの光の色が混ざることでいろいろな色が作れますが、RGBの3色がバランスよく混ざったときに図1のような白い光になります。 少し乱暴な説明になりますが、もし3原色の中で青色が少し強いと青空光のように青みを帯びた白色光になります。逆に赤色が強いとキャンドルのような温かい光になります。このようにいろいろな光の色(380~780nm)を連続的に持つ光源を白色光と言いますが、光源によって各波長の分布状態が異なり、それで青っぽく見えたり、赤っぽく見えたりするのです。

主な光源の色温度

白色光の光色は色温度(単位は絶対温度のK:ケルビン、-273度を 0 K:ゼロケルビン)で表わせられます。例えば5000Kは完全吸収体である黒体(理想とする物体で実在しないが、身近のものでは炭や煤が近い)を4727℃で熱したときに発光する光色です。 これは比較的白い光になります。仮にこの白さを基準とすれば、これより青みが強くなるにしたがって色温度は高くなり、逆に赤みが強くなればなるほど色温度は低くなります。

例えば炭を1000℃くらいに熱するとはじめは赤く発光します。さらに温度を上げて3000℃くらいの高熱になると、橙から橙白色(色温度にあえて換算すると3000℃-273℃で、2850K前後の白熱電球に近い光色)に変化します。 さらに温度上昇していくと青白くなります。しかし色温度は実際の発光体の温度上昇とは関係なく、光が青白く見えれば色温度は高く表示されます。

人類が作り出した初めての照明と言える「焚き火」の色温度は約800Kです。その後、気の遠くなるような長い年月をかけてキャンドルというランプを発明しています。キャンドルの光は1900K前後です。 そして近年になって白熱電球、蛍光ランプが発明されます。蛍光ランプに関しては電球に近い温かな光色もありますが、高いものでは7000K、という青白い光も市販されており、この頃から人類は夜でも手軽に日中と似たような光を手にしたのです。

色温度は色彩輝度計や色彩照度計、分光放射測定器などで計測することが可能です。図2、おもな光源の色温度を表したものです。赤字は最近実測した数値、その他は資料にもとづいています。 自然光は天気や季節、測定場所などで変わり、人工光も例えば同じLED電球といってもメーカによって若干変わりますので、いずれも概略値になります。

色温度は照明空間の印象を与える大きな要素でもあります。例えば日本の住宅は色温度が5000K前後の白色光が比較的多く使われており、空間は明るく機能的な感じになっています。一方、一流のレストランやホテルの主照明は決して色温度の高い白色光は使いません。明るさより温かで落ち着いた雰囲気を大事にするためです。 もちろん演出次第で同じ色温度でも雰囲気は変わりますが、低色温度の温かな光はあまり明るさを必要としない空間で、より高級感が表現しやすいのかも知れません。

図1 光の三原色

図1 光の三原色

図2 主な光源の色温度(概略値)

図2 主な光源の色温度(概略値)

執筆: 中島龍興照明デザイン研究所 中島龍興

『照明のことが分かる講座』の目次

第1章 照明の基礎知識

第2章 光源の種類と特徴

第3章 LED照明器具の選び方

第4章 照明方式

第5章 照明の視覚心理・生理

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