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照明のことが分かる講座

照明とは人々の生活に役立つ光の仕事のことを言います。 照明の主光源がLEDに変わりつつあるなか、照明を知ることで生活はより豊かに変わります。 そこで本連載では照明の基礎知識から光源や照明器具の種類、照明方式、照明がもたらす心理・ 生理効果を分かりやすくご紹介していきます。
第3章 照明器具の種類と選び方

3-2 照明器具に使われる素材

照明器具には様々な素材が使われていますが、その中でガラス、プラスチック、金属が3大素材と言われます。

ガラスの透過光が魅力

装飾用照明器具は灯具自体が美しく光っているものが多く、なかでも透過光の美しいガラスは多くの人を魅了させます。ガラスは素材と加工によって様々な種類がありますが、照明効果として欠かせないガラスの代表的なものを以下に記載します。

乳白ガラス

屈折率が異なる結晶微粒子入りの乳濁材を混入することで得られるガラス。オパールガラスとかミルキーガラスなどと言われます。照明器具にはシェードやグロ―ブとして使用されますが、ガラスの肉厚が均等ほどムラのない柔らかな光になり、高級感が得られます。

ステンドガラス

金属酸化物で着色されたガラス。鉛のリムに切り取られたステンドガラスの小片を結合させて模様化したものが照明器具のシェードやグローブによく使われます。色ガラスの他に薄くスライスした白い大理石のようなホワイトマーブル色もあります。(写真1)

写真1 ステンドグラスを透過した光

クリスタルガラス

クリスタルガラスは一般に酸化鉛の含有率が8~24%未満、24%以上、30%以上と3ランクがあり、含有率の高いほど透明度と屈折度が高まり、まるで水晶をイメージします。このことがクリスタルガラスと言われる所以です。 クラシックシャンデリアの瓔珞(飾り)によく使われ、高級な商品は酸化鉛を30%以上含んでおり、カットと研磨技術で綺麗な虹がガラスの表面に付きます。(写真2)アクリルや他のガラス製でも似たような効果を出す商品がありますが、これらの多くは経年で輝きが褪せたりします。

写真2 クリスタルガラスの輝き

量産されるプラスチックの光

プラスチックは石油を主原料とした合成樹脂で、加熱や押し出しなどによる成型が容易なところから、いろいろな形の物が作られています。大量生産によるプラスチック製の照明器具は戦後復興の証として様々な空間を明るくすることに貢献してきました。 初期の器具では光源をカバーする素材に安価なスチロールや塩化ビニルが多かったようです。その後、光の透過性と耐候性に優れたアクリル製が高級品の扱いで登場しています。今日では住宅照明の主役であるシーリングライトのカバー(パネルともいう)や乳白グローブのスタンド器具などに、アクリルは当たり前のように使用されています。(写真3) 屋内用照明に対して屋外用は破壊行為の心配があります。そのような場合は耐衝撃性の強いポリカーボネートが光源カバーに使用されます。

写真3 アクリル製器具

光源の固定と配光を制御する金属

金属は光源を安全に固定するだけではなく、反射板など光の方向や強さを思うままに制御するためにも使われてきました。金属も様々な種類がありますが、照明器具にはアルミニウム、鋼(鉄)、ステンレスを中心に真ちゅうや銅製などが多く、それらの表面は用途に応じて塗装やメッキなどの仕上げが施されます。

鋼は屋内用器具で本体の支柱やベース部などによく使われます。

アルミ二ウムは器具本体以外に反射鏡として光学的部分に使われます。比重が鉄の約1/3なので軽量で軟質なため加工がしやすいことから、コンピュータで計算された反射曲面を正確に型作ることができます。 (写真4)アルミニウムは鉄より高価であるが真鍮や銅などの非鉄に比べれば安価で、金属の中では存在量が最も多いことから大量生産可能な照明器具材に適しています。

ステンレスはさびない鉄とも言われており、おもに雨風の影響を受ける屋外用器具に使われます。

写真4 アルミニウムの反射鏡を持つダウンライト器具

以上の素材の他に和紙や布、木、大理石、陶磁器、アラバスタ、ゴム、革など様々です。(写真5)また多くの器具は再生利用も可能で、材料が高騰するに従って照明器具のリサイクル化が進むと考えられています。

写真5 和紙と鉄の器具

執筆: 中島龍興照明デザイン研究所 中島龍興

『照明のことが分かる講座』の目次

第1章 照明の基礎知識

第2章 光源の種類と特徴

第3章 LED照明器具の選び方

第4章 照明方式

第5章 照明の視覚心理・生理

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