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建築設備配管工事の基礎講座
空調設備や換気設備、給排水衛生設備の血管となる「配管」。本連載では、配管方式の分類から配管工事・配管材料の種類まで、現場や商品選定時に役立つ知識を紹介していきます。
第3章 配管の接合方法の種類

3-12 硬質ポリ塩化ビニル管:差込み接着接合法(TS接合法)

本管は通称:硬質塩ビ管(略称:VP)と呼ばれているが、その代表的な接合法には、1.差込み接着接合法(TS接合法)と2.ゴム輪接合法(RR接合法)の2種類がある。本項では、差込み接着接合法(TS接合法)について紹介する。

(1)差込み接着接合法(TS接合法)の原理

本接合法は、「TS接合法」と呼ばれているが、”Tapered Solvent Joint”の略号をとったものである。TS接合法は、一口で言えば、”テーパの受け口をもった継手と管の両接合面に「接着剤」を塗布して挿入し、表面の膨潤と管と継手の弾性を利用して、硬質塩ビ管を接合する”接合法である。

このTS接合法は、主として13A〜40Aまでの「小口径の給水管」の接合用として利用される。一方、後述の「ゴム輪接合法(RR接合法)」は、主として50A以上の「排水管」の接合用に使用されるという棲み分けがなされている。

「接着剤」は、「塩化ビニル溶剤」であり、接着剤の塗布面が「溶解膨潤」し、約0.1mmの「膨潤層」ができ、接着剤を塗布する前に比べると図-1に示すように、接着剤を塗布せず差込んだ点、すなわち「ゼロポイント」以上に深く差し込むことができる。

このことを「流動差込み」という。さらに、力を入れて差込むと「塩化ビニルの弾性」により管は縮径し、管継手は拡げられるので、さらに奥まで差し込むことができる。

これを「変形差込み」という。管を押し込んだことにより、管後方にはみ出した接着剤が、管と継手の間を充填し、その隙間が0.2mm以下であれば、その隙間は「接合強度」を保持するが、これを「はみだし接合」という。

図-1 TS接合法の原理

 

(2)TS接合法の作業手順と注意事項

1.必要材料・工具類の確認:表-1参照

表-1 TS接合法に必要な材料・工具類

工具類 仕様 使用目的
切断機 電気のこ、ジグゾー、又はのこぎり 管の切断
やすり   管切断後のばり取り、糸面取り
スケール   挿し口標線の測定など
けがきテープ 厚紙等 管の標線、切断けがき用
マジックインキ   切断線、標線の記入
ウエス   管及び継手の清掃等
接着剤 JWWA S 101品(水道用硬質塩化ビニル管の接着剤) 管の接合
刷毛 動物毛 接着剤の塗布
てこ棒   挿入用
挿入機 容量0.5t以上のプーラーなど 挿入用(てこ棒挿入が困難なとき)
ワイヤーロープ 両端さつまむすび 挿入用
  • [注意事項]
  • (1)刷毛及びその柄はプラスチックでないもの。
  • (2)使用工具については仕様及び取り扱い上の注意事項を厳守すること。

2.材料の点検と配置と保管:(割愛)

3.硬質塩ビ管の切断:まず管軸に対して直角に「切断線」を記入し、専用のカッターや細かい刃ののこぎりで「切断線」にそって切断する。切断面に生じた「バリ・くいちがい」を平らに仕上げ、「糸面取り」で管厚の1/2程度(約15°)の面取りを行う。

4.差込み口外面と継手受け口内面の清掃:(割愛)

5.差込み標線の記入およびゼロポイントの事前確認(図-2参照)

図-2 標線記入とゼロポイントの確認

6.接着剤の塗布:(割愛)

7.差込み作業および保持時間等:接着剤塗布後は、管を継手に軽く差し込み、管軸を合わせた後、すばやく「差し口」を「受け口」に標線を目安に一気に差し込む。なお、「ひねりながらの差込み」は避け、また、「たたき込み」は絶対に行ってはならない。

差し込んですぐ「挿入力」を取り除くと「受け口テーパ」の影響で管が抜け出してくることがあるので、挿入後はしばらく管が抜け出さないように抑えつけておく。

この時の保持時間は、施工時期にもよるが、呼び径:50A以下の管に対しては30秒以上、呼び径:75A以上の管に対しては60秒以上が必要で、冬の場合にはこの2倍程度の時間を見込む必要がある。

呼び径:75A以上の塩ビ管の差込み作業や溝のなかで手を差し込みにくい作業には、図-3に示すような「てこ棒」や「挿入機(接合冶具)」による差し込みを行う。

図-3 てこ棒および挿入機(接合冶具)による差し込み

 

8.接合完了時注意点:接合完了後は、接合部に曲げ・引っ張りなどの無理な力をできるだけ加えないことが肝要である。

なお、通水を開始するのは、すくなくとも8時間後とすること!

9.適切なる接着剤の使用:夏期炎天下や大口径管の接合においては、挿入するまでに接着剤が乾いてしまうおそれがあるため、乾燥速度を落とした「専用の接着剤」を使用すること!

なお、一般の接着剤以外に、「耐衝撃性硬質塩化ビニル管(HIVP)用接着剤・耐熱性硬質塩化ビニル管(HTVP)接着剤」が用意されている。特にHTVPの場合、専用の接着剤を使用しないと「接着強度」が保証されないので注意のこと!

10.その他の注意事項:非常に細かい話になるが、漏水防止の観点から、冬期においては、特に管継手内面への「接着剤の過剰塗布」を防止し、「漏れ出し接着剤(溶剤)」をふき取ると同時に、管内に充満した接着剤の「溶媒蒸気」の滞留による内面の「亀裂発生事故」を防止する目的から、管合の通風状態を良好に保つような配慮が必要である。

執筆:NAコンサルタント 安藤紀雄
挿絵:瀬谷昌男

『建築設備配管工事の基礎講座』の目次

第1章 建築設備と建築設備配管

第2章 建築設備用配管材料の種類

第3章 配管の接合方法の種類

第4章 配管工事を支える補助部材

第5章 配管のテストと試運転

第6章 配管に関するトラブル対応

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