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ねじの基礎講座
私たちの身近にあって欠かせない存在、「ねじ」。
ねじにはどのようなはたらきや歴史があり、どんな種類があるのか。
本連載では、ねじに関するさまざまな事項をご紹介していきます。
第5章 ねじのつくり方

5-6 圧造によるねじの加工

小ねじの成形には切削加工よりも塑性加工、すなわち切りくずを出さない加工が多く用いられています。 規格品のねじには頭部とねじ部があるため、これらを別々に作って接着すると考える人もいますが、そのような作り方はしません。 また、もし切削加工で行うとすると、ねじの頭部よりも小さな直径となるねじ部を作るためには、多くの部分を切削しなければなりません。 塑性加工によるねじ製造のヒントとして、まずは数十mの長さでコイル状に巻かれた線材から加工を開始します。 これを用いて塑性加工によって線材からねじの頭部とねじ部を一体物として製造するためには、どのような加工が必要となるでしょうか。

塑性加工は切りくずを出さないため、変形させるためにはまずたたいて潰すことを考えます。 すなわち、線材の先端部をダイスとよばれる凹型の金型にあてて、パンチとよばれる凸型の金型で押し潰して成形します。 この圧造には、常温で加工する冷間圧造と加熱してから加工する熱間圧造とがあります(図1、2)。 冷間圧造を行う工作機械をヘッダーとよぶことから、この加工をヘッダー加工といいます。 一般的な小ねじの成形では、一度に大きな変形を与えると材料にひび割れが発生するため二段階で行われることが多く、これをダブルヘッダー加工といいます(図3)。

  • 図1 ねじ工場の冷間圧造
  • 図2 ねじ工場の熱間圧造

図3 ダブルヘッダー加工

ダブルヘッダー加工では、最初に第一パンチが線材を予備成形した後、第二パンチが仕上げ成形を行います。 このとき、もちろんねじの頭部形状だけでなく、十字穴のくぼみなども成形されます。 なお、この段階ではねじ山はまだ成形されていませんので、ヘッダー加工で成形されるものはねじ部品とは限りません。より複雑な形状の部品の場合には材料を三回〜四回たたいて成形するものもあります。

ねじの呼び径が十mm以上あるような太いねじの場合には冷間圧造が難しいため、電気炉や重油炉などで材料を加熱してから橙色に輝いた頭部をたたいて成形する熱間圧造が用いられます。 熱間圧造は冷間圧造より大きな変形を可能にしますが、仕上げ精度は劣ります。そのため、成形後に旋盤で円筒部を仕上げたり、フライス盤で六角ボルトの平面部分を仕上げたりします。

圧造による加工は材料を数回たたくだけで成形されるため、切削加工に比べて加工時間が短いこと、金属内部の繊維状金属組織であるファイバーフローを切断しないため耐摩耗性に優れるなどの特長があります。

(取材協力 浅井製作所)

執筆:宮城教育大学 教育学部 技術教育専攻 門田 和雄 准教授

『ねじの基礎講座』の目次

第1章 ねじのキホン

第2章 ねじの種類

第3章 ねじの強さ

第4章 ねじの材料

第5章 ねじの作り方

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