工具の通販モノタロウ 研削砥石 切削工具の基礎講座 粒度と組織(と粒率)の関係

切削工具の基礎講座

ものづくりに欠かせない「切削工具」。切削工具にはどのような種類があるのか?購入する時に気を付けることは?使い方は? 本連載では、切削工具の正しい知識について、ご紹介していきます。
第5章 研削砥石

5-5 粒度と組織(と粒率)の関係

粒度は「と粒」の大きさを表す指標で、粒度の数値が大きいほど「と粒」は小さくなり、粒度の数値が小さいほど「と粒」は大きくなります。 粒度を表す数値は製造メーカが勝手に設定できるのではなく、ISO(国際標準化機構)およびJIS(日本工業規格)により規定されています。

表に、JISに規定されている粒度の一例を示します。表に示すように、粒度は#で表記され、呼び方は数値の後に「番」を付けます。つまり、#240なら240番と呼びます。

粒度の表記は紙やすり(サンドペーパ)も同じで、ガリガリ削りたいときは「粒度の小さいもの(大きなと粒)」を使い、きれいな仕上げ面を得たいなら、「粒度の大きいもの(小さなと粒)」を使います。

組織は「と粒率」ともいわれ、研削といしに占める「と粒」の体積比率を表します。つまり、研削といしに含まれる「と粒」が多いほど、「組織(と粒率)」は高く、「と粒」が少ないほど、「組織(と粒率)」は低くなります。 表にJIS R 6242で規定している組織番号と「と粒率」の関係を示します。表からわかるように、「と粒率」は2%ごとに12%~62%まで区分され、0から25の「組織番号」で分類されています。 「と粒率」が50%の時に組織番号が6で、「と粒率」が2%増えるごとに組織番号が1減り、「と粒率」が2%減るごとに組織番号が1増えます。 簡単に言うと、組織番号が小さいほど「と粒」と「と粒」の間隔が「密」になり、組織番号が大きいほど「と粒」と「と粒」の間隔が「粗」になるということです。

通常の研削作業では、組織番号6~8(と粒率50~46%)を使用するとよいでしょう。研削といしの構造の割合が「と粒」が半分(50%)、結合剤と気孔が残り半分(50%)くらいが丁度良いということです。 「と粒」の数が多すぎると、よい研削加工はできません。

ここで、粒度と組織の関係について少しだけ解説します。たとえば、組織6で#1000と#240の2つの研削といしがあった場合、研削といしに含まれる「と粒」の数はどちらが多いでしょうか。 答えは#1000が#240よりも「と粒」の数が多くなります。組織は「と粒」の体積比率なので、粒が小さいほど数は多くなります。1房のぶどうでも小粒と大粒では、小粒のぶどうは実の数が多く、大粒のぶどうでは実の数が少ないのと同じです。 つまり、粒度が大きいときには、多少「と粒率」が少ない(組織番号が大きい)研削といしを選ぶとよいということです。粒度と組織の関係はあまり意識されませんが、研削加工では大切な関係ですので覚えておくとよいでしょう。

粒度の種類(JIS R 6001)

区分 粒度の種類
微粉 #240 #280 #320 #360 #400 #500 #600
#700 #800 #1000 #1200 #1500 #2000 #2500
#3000 #4000 #6000 #8000      

備考 粒度の呼び方は、数値の後に番を付けて呼ぶ。

組織番号と「と粒率」の関係(JIS R 6242)

組織番号 と粒率(%) ↑密
0 62
1 60
2 58
3 56
4 54
5 52
6 50
7 48 一般的な研削
8 46
9 44
10 42
11 40
12 38
13 36
14 34
15 32
16 30
17 28
18 26
19 24
20 22
21 20
22 18
23 16
24 14
25 12 ↓粗
執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 准教授

『切削工具の基礎講座』の目次

第1章 切削工具とは?

第2章 穴あけ加工と穴仕上げ加工

第3章 旋盤用の切削工具

第4章 フライス加工用の切削工具

第5章 研削砥石

第6章 特徴的な切削工具

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