照明のことが分かる講座

照明とは人々の生活に役立つ光の仕事のことを言います。 照明の主光源がLEDに変わりつつあるなか、照明を知ることで生活はより豊かに変わります。 そこで本連載では照明の基礎知識から光源や照明器具の種類、照明方式、照明がもたらす心理・ 生理効果を分かりやすくご紹介していきます。
第2章 光源の種類と特徴

2-1 白熱電球、その進化

白熱電球は1878年アメリカのトーマス・エジソンによって発明された、と言われています。しかし実際はそれより前にフランスのスワンによって発明されています。 では何故電球の発明を誰もがエジソンと答えるのでしょうか?それはエジソンが住宅や施設に電気を供給する方法を考え、実用的な電球を開発して世に幅広く普及させたことへの貢献が評価されたからだと思います。

とは言え初期の電球は明るさや寿命など品質面において未熟で、今日私達が使っているものとは比較になりませんでした。それが約50年の長い時間をかけて改良が重ねられ、今日の性能に近づいたのです。

白熱電球で最も使われている形状が通称「普通電球」と言われるものです。日本では野菜のナスに形状が似ているのでナス型電球とも言われていました。普通電球の構造はシンプルで、幾つかのパーツからなっています。(図1)これらパーツの名称は一部で今日普及しつつあるLED電球にも使われています。

白熱電球の種類

白熱電球にはバルブや口金の形状、W数などの違いを含めるとその種類が豊富です。そこで用途別に一般照明用と投光照明用、装飾照明用の3つに集約して分類しております。一般照明用の電球は多くの照明器具に使われるため比較的安価で、汎用性が高くなっています。

次に投光照明用電球ですが、これは照明対象を明るく引き立たせるために使われるもので、かなり狭い範囲を集中的に照らすものから、少し広い範囲を明るく浮かび上がらす目的で使用されます。前者はPAR型電球とかビーム電球、後者はレフランプなどと呼ばれています。

そして装飾照明用はシャンデリア型電球に代表され、バルブの形状が蝋燭の炎の形に似ています。ランプはフィラメントの見えるクリアタイプと、見えない白色があり、いずれもクラシカルシャンデリアやブラケットなどに多用されています。

白熱電球の中にはバルブ内に封入されているガス(一般にアルゴンと窒素の混合)に微量のハロゲンガスを加えたハロゲン電球やアルゴンガスをクリプトンに変えたクリプトン電球も含まれ、普通電球に比べ小型化し明るくなっています。 これらは一般照明用として普及していますが、投光照明用としてダイクロイックミラー付ハロゲン電球(以後、ダイクロハロゲンとする)も注目されていました。 これは赤外線反射膜をミラーに塗布することでランプから発生する熱の80%以上をミラーの後方に逃がす特長があり、普通のミラー付電球に比べ熱に弱い商品などの被照射物を熱から守る効果に優れています。 ダイクロハロゲンのなかでミラーの径が直径50mmタイプを特にMR16と称して広く流通しており、LED電球にもMR16タイプが存在するほどです。

白熱電球は全般に電気エネルギーの大半が熱に変わり、光として利用できるのは僅かです。そのためランプ効率「1Wあたりの光束量で、ルーメンパーワットと言う」が低く、一般照明用で15lm/W前後しかありません。 省エネルギーの観点からすれば蛍光灯やLEDに比べ好ましくない光源とされ、政府はランプの製造メーカに対して2012年までに代替の効かないものを除く白熱電球の製造中止や減産、また家電量販店などの販売自粛を要請しており、今日に至っています。

図1 普通電球の構造

  • 写真1 白熱電球
  • 右:普通電球
  • 中:クリプトン電球
  • 左:ハロゲン電球

  • 写真2 投光照明用電球
  • 上:レフ電球
  • 中:PER型電球
  • 下:ダイクロハロゲン
執筆: 中島龍興照明デザイン研究所 中島龍興

『照明のことが分かる講座』の目次

第1章 照明の基礎知識

第2章 光源の種類と特徴

第3章 LED照明器具の選び方

第4章 照明方式

第5章 照明の視覚心理・生理

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