工具の通販モノタロウ テスターの基礎講座 テスターとは何をするもの?

テスターの基礎講座

テスターとは、電気・電子回路の状態や状況を知るために電気量を目に見える形に変換し間接的に測り、必要な電気量を判断をするために活用する機器です。本連載では、テスターの仕組み・構造から、測定方法まで、テスターを活用する上で知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第1章 テスターの概要

1-1 テスターとは何をするもの?

■多くの人は、テスターと言われると、店頭などで化粧品の特長や使用性を体感するためのお試し用店頭見本や、コンピューターのソフトウェアなどを動作検証する人を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、テスターには試験者・分析者の以外に、試験装置や治験薬剤の意味もあります。ここで話題にするテスターとは、電圧や電流測定用の計器である回路計(かいろけい)です。

■日本では、回路計(Circuit Meter)は回路試験器(Circuit Tester)と呼ばれることが一般的です。電気・電子回路を試験(テスト)する機器で、通称がテスター(Tester)なのです。一方、欧米ではMultimeter(マルチメーター)やVOM(Volt-Ohm-Milliammeter)と呼ばれています。電圧、抵抗、および電流などの測定機能を一つにまとめた計測器です。また、計測器(メーター)は状態や状況を計測する機器として、測ることを目的にしている感じがします。しかし、試験器(テスター)は状態や状況を計測した上で、合否や許容範囲などを判定する機器の意味合いを強く感じます。同じ計器のとらえ方が、日本と欧米で異なることは良くあることですが、面白いですね。

テスターとは何をするもの?

■ところで、そのテスターで何をするのでしょうか。モノの長さを知りたいときには、モノサシを当てて長さを測ります。長さは基準となる目盛りと比較して、直接的に目で見て測ることができます。そして、必要な長さを判断することができるのです。また、気温を知りたいときには、温度計の目盛りを読み、必要な温度を判断することができます。そして、モノの重さを知りたいときには、ハカリに乗せて重さを量ります。重さは分銅やバネと比較して、間接的に変換した目盛りを使って測ることができます。こちらも、必要な重さを判断することができるわけです。すなわち、テスターは電気・電子回路の状態や状況を知るために電気量を目に見える形に変換し間接的に測り、必要な判断をするために活用する機器なのです。

■昔はテスターと言えば、大きなメーターに複数の目盛りが刻まれたアナログテスターのことでした。最近では、ワンチップマイコンの普及で、数値とバー表示が可能なデジタルテスターが普及しています。確かに、デジタルテスターはコストと精度の点で有利ですが、急激に変化する値を測定する場合など、依然としてアナログテスターの利点もあります。さらに、センサー技術の進歩により、音や光(電磁波)の強さから、気温・湿度・気圧・高度・方位・硬度などを、電気量に変換して測る様々なテスターが登場しています。

執筆: 横浜みどりクラブ(JH1YMC)広報 内田 裕之(JG1CCL/W3CCL)

『テスターの基礎講座』の目次

第1章 テスターの概要

第2章 テスターの使い方

第3章 テスターの測定方法

第4章 テスターの活用法

第5章 使用上の注意点、トラブル対応

目次をもっと見る