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テスターの基礎講座

テスターとは、電気・電子回路の状態や状況を知るために電気量を目に見える形に変換し間接的に測り、必要な電気量を判断をするために活用する機器です。本連載では、テスターの仕組み・構造から、測定方法まで、テスターを活用する上で知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第5章 使用上の注意点、トラブル対応

5-5 テスターの管理方法

■テスターは、測定に使っているとパネルやケースがどうしても汚れてきます。その汚れを落とそうと、シンナーやアルコール等で拭くことはしないでください。パネルやケース等は揮発性溶剤に弱いため、パネルが白く濁ることやケースが溶けてしまいます。軽い汚れはスマートフォン用クロスなどの乾いた柔らかい布で軽く拭き取ってください。油などのひどい汚れには、スマートフォン用ウェットシートが便利です。

■ハンダゴテや工業用ドライヤーなど、高熱を発生する物の近くで測定することもあると思います。しかし、パネルやケース等は熱に弱いため、それらの近くに置かないように注意してください。筆者は、ハンダ付け作業と測定作業を同時に行わないようにしています。テスター以外にもオシロスコープやスペクトラムアナライザーがあるため、万が一ハンダが飛び液晶画面が破損すると取り返しがつきません。また、ハンダ付けは、3面タイプのガスコンロ用アルミ製レンジガードで周りを囲い作業しています。細かなハンダが飛び散らないのでとても便利です。また、余ったリードは手で押さえながら切断するのですが、ときどき短いリードが飛ぶことがあります。それを防いでくれるばかりか、上からスタンドの灯りを入れると全体に反射して手元が明るくなり快適です。

テスターの管理方法

■テスターの保管方法ですが、振動の多い所や落下の恐れがある場所には、置かないでください。落下するとテスターそのものも壊れてしまいますが、落下した場所にあったものも破損する可能性があります。また、直射日光や高温、低温、多湿、結露のある場所での保管は避けてください。特に、長期間使用しないときには、内蔵電池を必ず抜いてください。「5-2 テスターの故障確認方法」と「5-4 テスターの保守方法」でも説明したように、内蔵電池の電解液が漏れて周辺回路や金属部を腐食してしまいます。

■テスター以外に、「取扱説明書」と「保証書」を必ず保管してください。また、取扱説明書にある「アフターサービス」の記載も一読することをお勧めします。筆者が使用している三和電気計器の「CX506a MULTITESTER」、「PC710 DIGITAL MULTIMETER」、「DCL31DR デジタルクランプメータ」の保証期間は、いずれも購入日より3年間となっています。ただし、下記前提条件(取扱説明書より抜粋)があります。

  1. 日本国内で購入し日本国内での使用
  2. 製品本体の確度および許容差は1年保証
  3. 製品付属の電池、ヒューズ、テストリード等は保証対象外

■保証期間中の修理は、保証書の記載内容に基づきます。保証期間経過後の修理は、筆者が使用しているCX506a、PC710、DCL31DRでは下記前提条件(取扱説明書より抜粋)となります。

  1. 修理により本来の機能が維持できる場合、要望により有料で修理
  2. 修理費用や輸送費用が製品価格より高くなる場合もあるため、事前に問い合わせが必要
  3. 補修用性能部品の最低保有期間は製造打切後6年間、この補修用性能部品保有期間が原則修理可能期間
  4. 輸送費用はすべてお客様負担

【参考文献】

内田 裕之、小暮 裕明 共著『みんなのテスターマスターブック』オーム社、2015年11月20日(第1版第2刷)

三和電気計器『CX506a MULTITESTER 取扱説明書』(13-1405 2040 2040)

三和電気計器『PC710 DIGITAL MULTIMETER 取扱説明書』(04-1405 5008 6010)

三和電気計器『DCL31DR デジタルクランプメータ取扱説明書』(01-1507 2040 6011)

執筆: 横浜みどりクラブ(JH1YMC)広報 内田 裕之(JG1CCL/W3CCL)

『テスターの基礎講座』の目次

第1章 テスターの概要

第2章 テスターの使い方

第3章 テスターの測定方法

第4章 テスターの活用法

第5章 使用上の注意点、トラブル対応

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