工具の通販モノタロウ テスターの基礎講座 テスターの測定値の読み方

テスターの基礎講座

テスターとは、電気・電子回路の状態や状況を知るために電気量を目に見える形に変換し間接的に測り、必要な電気量を判断をするために活用する機器です。本連載では、テスターの仕組み・構造から、測定方法まで、テスターを活用する上で知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第2章 テスターの使い方

2-3 テスターの測定値の読み方

■アナログテスターでは、測定の前に零位調整とゼロオーム調整が必要なことは理解いただけたかと思います。しかし、目盛板と指針は少し離れていますので、見る角度により指針が示す値が微妙に異なってしまいます。いったい、どの角度から見ればいいのでしょうか。正しくは、指針の真上から目盛りを読み取ります。そのために、目盛板には目盛りと一緒に帯状の鏡が付いています。鏡に映った指針が見えていれば斜めから覗いていることになります。鏡に映った指針と実際の指針が完全に重なるように、真上から覗き目盛りを読み取ります。また、アナログテスターは、基本的に水平置きにして使います。しかし、背面にスタンドが付いている機種では、斜めに立てて使うこともできます。スタンドを立てた場合には、斜めに見下ろすようにし、やはり指針の真上で読み取ってください。基本は、鏡に指針を重ねて真上から読むことです。

測定値の読み方

■また、アナログテスターの測定値は、ファンクションスイッチで設定した測定モードとレンジに対応した目盛りを読む必要があります。すなわち、アナログメーターの目盛りから測定レンジに対応した目盛りを選択します。指針が示す数値を読み取り、その値に読み取り倍率を掛けた値が測定値になります。読み取り倍率とは、抵抗測定モードでは測定レンジの値となります。また、電圧や電流測定モードでは、測定レンジを目盛りの最大値(フルスケール)で割った値です。 たとえば、指針が示す値が50、測定モードが抵抗(Ω)で測定レンジが×100のときには、読み取り倍率が100倍ですから、50を100倍した5000Ω(5kΩ)と読み取れます。また、測定レンジが×10kであれば、50を10k(10000)倍した500kΩとなります。さらに、目盛りの最大値(フルスケール)が120で指針が示す値が52、測定モードが直流電圧(DCV)で測定レンジが12のときには、読み取り倍率は0.1倍(12 / 120)ですから、52を0.1倍した5.2Vと読み取れます。また、目盛りの最大値(フルスケール)が30で指針が示す値が13、測定モードが直流電圧(DCV)で測定レンジが30のときには、読み取り倍率は1倍(30 / 30)ですから、13を1倍した13Vとなります。

■デジタルテスターは、ファンクションスイッチで測定モードを選択すると、測定レンジは自動で判断され単位も自動表示されます。これはオートレンジ方式で、デジタルテスターが初心者向けだとの所以(ゆえん)です。しかし、精度への配慮や豊富な高機能を使いこなすには、それなりの知識が必要となります。液晶表示器(LCD)で数値を表示する機種がほとんどです。反射式LCDでは光が反射し数値が見やすい位置で使います。バックライト付きLCDでは多少暗くても問題ないかと思います。むしろ、電池の消耗具合を気にする必要があります。ハンディタイプでは、背面にスタンドが付いている機種が多く、斜めに立てて使うこともできます。

■また、デジタルテスターでは、できるだけ多くの桁数を表示できるように測定レンジを分けています。たとえば、直流電圧では、9.999V/99.99V/999.9Vのように表示されます。オートレンジ方式では、小数点をどの位置に置き、何桁表示するかと単位を判断してくれます。さらに、ファンクションボタンで、値の保持(ホールド)や小数点位置を設定したり、最大値や最小値または平均値を表示する機種もあります。また、マニュアルレンジ方式では、有効桁数を最大表示するレンジを、ファンクションスイッチで選択することができます。数値以外の表示では、無限大(∞)Ωや測定レンジのオーバーは「0.L」や「0.F」と表示されます。

【参考文献】

内田 裕之、小暮 裕明 共著『みんなのテスターマスターブック』オーム社、2015年11月20日(第1版第2刷)

執筆: 横浜みどりクラブ(JH1YMC)広報 内田 裕之(JG1CCL/W3CCL)

『テスターの基礎講座』の目次

第1章 テスターの概要

第2章 テスターの使い方

第3章 テスターの測定方法

第4章 テスターの活用法

第5章 使用上の注意点、トラブル対応

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