ねじの基礎講座
私たちの身近にあって欠かせない存在、「ねじ」。
ねじにはどのようなはたらきや歴史があり、どんな種類があるのか。
本連載では、ねじに関するさまざまな事項をご紹介していきます。
第2章 ねじの種類

2-2 ねじ山の種類

直角三角形を丸めて円柱をつくり、これを丸めていくとその斜面は曲線を描きます。この曲線をつる巻線といい、ねじの溝はこれに沿って形成されています(図1)。 そして、このつる巻線が右回転のものを右ねじ、左回転のものを左ねじといいます(図2)。一般的にはほとんどのねじが右ねじです。ただし、右回転をする軸を固定するために右ねじを用いると緩む方向に力がはたらいてしまうため、このような部分には左ねじが用いられます。

  • 図1 つる巻線とリード角
  • 図1 つる巻線とリード角
  • 図2 右ねじと左ねじ
  • 図2 右ねじと左ねじ

隣り合うねじ山の距離をピッチと、ねじを一回転させたときの軸方向の移動距離をリード、この一回転する長さと直角三角形の斜面とがつくる角度をリード角といいます。一般的なねじではピッチとリードの大きさが等しく、これを一条ねじといいます。 なかにはリードがピッチの二倍ある二条ねじや三倍ある三条ねじなどもあり、これらを総称して多条ねじといい、条数はねじの端部に刻まれているらせんの数で判断できます(図3)。 多条ねじは1回転あたりの進む量であるピッチを大きくとりたい場合に用いられます。たとえば容器のキャップなどには多条ねじが用いられています。ただし、多条ねじはリード角が大きくなることから緩みやすくなるため、一条ねじを締結する力より大きな締め付け力が必要です。

図3 ねじの条数

図3 ねじの条数

一般的なメートルねじやインチ規格のユニファイねじ(図4)のねじ山は60°の三角形をしています。同じ三角ねじでも管用ねじのねじ山は55°と定められています。 管用ねじは水道配管や空気圧機器など、気密性が求められる場所で用いられており、より気密性を高めるために円筒部が傾斜したテーパ部をもつ管用テーパねじ(図5)もあります。

  • 図4 三角ねじ
  • 図4 三角ねじ
  • 図5 管用ねじ
  • 図5 管用ねじ

このほか、ねじ山が三角形以外の形状をしたものもあります。ねじ山の断面が台形の台形ねじ(図6)は三角ねじよりも斜面の角度が大きく、軸方向の精度を出しやすいという特長をもつため、運動用ねじとして工作機械の親ねじや測定器の測定軸など、高精度のピッチが求められる場所などに用いられます。 ねじ山の断面が正方形に近い角ねじ(図7)は三角ねじよりも小さな回転力で軸方向に移動できるため、プレスやジャッキなどに用いられます。

  • 図6 台形ねじ
  • 図6 台形ねじ
  • 図7 角ねじ
  • 図7 角ねじ

また、ねじ山の断面が角ねじと三角ねじを組合せた鋸刃形状をしているのこ歯ねじ(図8)は、軸方向の力が一方向のみからはたらく万力の締付け用ねじなどに用いられます。ねじ山の断面に丸みをつけた丸ねじ(図9)は、電球の口金のように破損しやすい薄板のねじなどに用いられます。

  • 図8 のこ歯ねじ
  • 図8 のこ歯ねじ
  • 図9 丸ねじ
  • 図9 丸ねじ
執筆:宮城教育大学 教育学部 技術教育専攻 門田 和雄 准教授

『ねじの基礎講座』の目次

第1章 ねじのキホン

第2章 ねじの種類

第3章 ねじの強さ

第4章 ねじの材料

第5章 ねじの作り方

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