工具の通販モノタロウ > テスターの基礎講座 > 1-5デジタルテスターの仕組みと構造
テスターの基礎講座
テスターとは、電気・電子回路の状態や状況を知るために電気量を目に見える形に変換し間接的に測り、必要な電気量を判断をするために活用する機器です。本連載では、テスターの仕組み・構造から、測定方法まで、テスターを活用する上で知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第1章 テスターの概要

1-5 デジタルテスターの仕組みと構造

■デジタルテスターは、測定値を「液晶ディスプレイ(LCD)」などに表示します。アナログテスターは「直流電流計」でしたが、デジタルテスターは「デジタル直流電圧計」なのです。さて、このデジタル直流電圧計を使って、直流電圧・交流電圧・直流電流・交流電流・抵抗を表示させます。しかし、アナログテスター同様、電流や抵抗などはそのままデジタル直流電圧計に接続することができません。そこで、デジタルテスターでは、入力する情報を、すべて直流電圧に変換するのです。さらに、直流電圧をアナログ/デジタル変換(A/D変換)しデジタル値にします。そして、その値を数値で表示します。ここでも、電流や抵抗を直流電圧に変換するために、オームの法則(電圧[V] = 電流[A]×抵抗[Ω])が使われています。デジタルテスターでは、ロータリースイッチや押しボタンで測定モードを切り替えます。また、測定レンジの切り替えは、自動のものがほとんどです。それでは、簡単に仕組みと構造について解説します。

デジタルテスター

■直流電圧は、直接アナログ/デジタル(A/D)変換器に入力できそうです。しかし、アナログ/デジタル(A/D)変換器の入力レンジは数V位ですので、mV(ミリボルト)などの低い電圧では増幅、kV(キロボルト)などの高い電圧では分圧が必要になります。この測定レンジの切り替えを分圧器で行います。また、分圧器には、アナログ分圧器とデジタル分圧器があります。

■交流電圧では、直流電圧と同様に入力レンジの整合も必要ですが、交流を整流して直流にすることが重要となります。これは交流/直流変換器が行います。

デジタルテスター

■直流電流は、測定する直流電流を標準抵抗器に流し、両端に発生する直流電圧を使います。また、測定レンジは、この標準抵抗器を切り替えて行います。たとえば、1kΩの抵抗で1mAの電流が流れるとオームの法則により、電圧[V] = 電流[A]×抵抗[Ω] = 1.00[mA]×1.00[kΩ] = 1.00[V]が発生します。また、アナログ/デジタル(A/D)変換器の入力レンジを整合する必要があります。これらのことを、電流/電圧変換器が行います。

■交流電流では、さらに交流/直流変換器により直流電圧に変換します。

■抵抗は、測定する抵抗に定電流回路から電流を流し、両端に発生する直流電圧を使用します。また、測定レンジは、この定電流を切り替えて行います。たとえば、1mAの定電流で1Vの電圧が発生するとオームの法則により、抵抗[Ω] = 電圧[V] / 電流[A] = 1.00[V]×1.00[mA] = 1.00[kΩ]が抵抗となります。また、流した定電流から小数点位置を調整します。さらに、アナログ/デジタル(A/D)変換器の入力レンジを整合する必要があります。これらのことを、抵抗/電圧変換器が行います。

■最後に、アナログ/デジタル(A/D)変換器ですが、アナログ信号をデジタル値に変換する方法は他種多様で、それだけで数冊の書籍になります。また、目的とする信号によって変換方法は異なりますが、デジタルテスターの変換には二重積分方式が多く利用されています。

【参考文献】

内田 裕之、小暮 裕明 共著『みんなのテスターマスターブック』オーム社、2015年11月20日(第1版第2刷)

執筆: 横浜みどりクラブ(JH1YMC)広報 内田 裕之(JG1CCL/W3CCL)

『テスターの基礎講座』の目次

第1章 テスターの概要

第2章 テスターの使い方

第3章 テスターの測定方法

第4章 テスターの活用法

第5章 使用上の注意点、トラブル対応

目次をもっと見る