マシニングセンタの基礎講座

モノタロウの本連載では、マシニングセンタの種類や仕組み、使い方について、実践的で役立つ知識をご紹介していきます。
第1章 マシニングセンタの基礎知識

1-1 マシニングセンタとは?

私たちの身の回りには色々な「もの(モノ)」が溢れています。「もの」の多くは材料を加工し、組み立てられてつくられており、「もの」を「つくる」ことをを「ものづくり」、つくられたものを「工業製品」といいます。

近年では「もの」を使って、色々な「こと」を行うことができるサービス(例えば、アプリなど)をつくることを「ことづくり」といってます。これからは「ものづくり」と「ことづくり」の両方が大切ということです。

さて、経済産業省では工業製品を金属、化学、機械、食料品、繊維、その他の6つに大別しており、私たちの生活が多くの工業製品に支えられていることがわかります。工業製品の中で石油や電気をエネルギとして運動や仕事を行うものを「機械」といい、スマートフォンやスマートタブレット、パソコン、カメラ、テレビ、エアコン、自動車、電車、航空機などはその代表例で、機械は私たちの生活を便利に、快適にしてくれる強い味方です。

 

工業製品の分類例


金属工業

金属工業

鍋、台所用品(おたま)、ジュースの缶

化学工業

化学工業

洗剤、石鹸、薬、ペットボトル


機械工業

機械工業

テレビ、エアコン、車、パソコン、携帯電話

食料品工業

食料品工業

お菓子、ジュース、調味料(醤油)


繊維工業

繊維工業

洋服、カーテン

その他工業

その他工業

椅子、カップ、本


 

機械をよく観察すると繋ぎ目があり、いくつかの部品が組み合わされていることがわかります。日常私たちが使用する機械は複数の部品が組み合わされた完成品です。スマートフォンなどの家電は電気屋さん、自動車は車販売店に行けば購入することができますが、携帯電話や自動車などの部品は何処でつくられ、何処で組み立てられているのでしょうか。私たちは機械の完成品を目にし、触れる機会は多いです、機械の部品が何処でつくられ、何処で組み立てられているのかまでは気にすることはなく、目にする機会もありません。

機械の部品をつくるために人知れず「働く機械(マシーン)」があり、この機械を「工作機械」といいます。工作機械は「機械(工業製品)をつくる(産みだす)機械」ですので、母なる機械「マザーマシン(Mother Machine)」とも言われています。

工作機械には「ボール盤」や「旋盤」、「フライス盤」、「研削盤」などがありますが、現在、工作機械の中で最も有名で、活躍しているのが「マシニングセンタ」です。マシニングセンタは工作機械のリーダ的な存在です。

マシニングセンタは私たちの生活を支える基盤となる機械で、マシニングセンタがなければ私たちの快適で豊かな生活は存在しないといっても過言ではありません。

マシニングセンタ
働く工作機械(マシニングセンタ)

 

執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 教授

『マシニングセンタの基礎講座』の目次

第1章 マシニングセンタの基礎知識

第2章 マシニングセンタの装備

第3章 マシニングセンタを動かすソフトウエア

第4章 マシニングセンタの要素技術

第5章 マシニングセンタの特性と関連知識

第6章 マシニングセンタを使用する際の基礎知識

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