照明のことが分かる講座
2-11 特殊照明用LEDランプ
一般照明用のLEDランプ以外に特殊な用途を持ったLEDランプがあります。ここではその幾つかを紹介いたします。
日中の自然光は可視光領域の波長(スペクトル)の全てをほぼ均等に持っており、明るさに関しては天候や時間帯にもよりますがおよそ2000~10万lxまであります。このような光の中で気の遠くなるような大昔から動植物の営みがあります。
植物の中でも野菜はその種類にもよりますが、大体100~5000ルクスくらいの自然光があれば育つと言われています。しかし自然光は悪天候が続くと上記の明るさが維持できず、不作になって価格の高騰を引き起こすことがしばしばあります。
このような不安定さを払しょくさせるため、植物の生育にとって必要な波長を効率よく放射する植物育成用ランプによる栽培が行われるようになりました。
まだ全般的にコスト高のため限られた野菜だけが実用化されていますが、今後の普及拡大が期待されています。
今までは植物育成用と言えば高圧ナトリウムや蛍光ランプが主に使われていましたが、最近は熱がほとんど出ないLEDに変わりつつあります。これらは植物の育成にとって必要な青と赤の波長が効率よく出るように設計されており、多くの場合、写真1のようにやや赤紫色がかった光に見えるのが特徴になっています。(図1)(写真1)

- 図1 植物の生育に必要な波長

- 写真1 植物育成用LEDランプの例
室内でアクアリウムを楽しむ人が増えていますが、特に水草水槽に人気があるようです。夜、部屋の全般照明だけで水槽を明るく浮かび上がらせることは難しいです。そこで水槽照明用のランプが求められ、それは水槽が最も綺麗に見え、また熱帯魚や水草の生育にも良い光です。 例えばブルーと白色光を組み合わせ水槽照明用LEDがあります。これは熱がほとんど出ないので水草の育成にもよく、また涼しげな風景を空間に作り出してくれます。(写真2)

- 写真2 ブルーと白色光を組み合わせ水槽照明用LEDの例

- 写真3 LEDキャンドルによる演出
LEDキャンドルはキャンドルライトを模したLEDランプです。発光部が炎のような形をしているものが多く、揺らめき効果もあります。多くの場合、実際のキャンドルに比べ、明るさはかなり暗いためあくまでも雰囲気を楽しむための目的に使われます。
LEDキャンドルはコードレスが基本で、それらは電池式、もしくは充電式になります。そのため連続点灯時間が限られますが、例えば電池交換まで約50~500時間が商品によって可能になっています。ランプの点滅は簡単なスイッチ付きが大多数を占めていますが、 最近のものはタイマ付きやリモコンで点滅したり、明るさが何段階かに変えられたりするものまで多域にわたっています。
安価なLEDキャンドルは同じ揺らぎパターンを何秒かに一回の間隔で繰り返しています。そのため、よく眺めていると不自然な感がありますが、住宅ではクリスマスなどイベント時だけに使われることが多いため、あまり気にならないと思います。一方、高価なものほど本物のキャンドルのような1/f揺らぎを感じます。 1/f揺らぎはリラックス効果があると言われていますが、この体感は人によって異なるため、エビデンスの確かさは定かではありません。
市販されている白色LEDの多くは、青色発光ダイオードに蛍光体を使用して白色光を発しているため、紫外線はほとんど発生しません。そのため白色LEDの光には虫が集まりにくく、また色が褪せにくいなどと言った効果があり、それが売りになることもあります。 しかしLEDは波長設計によって紫外線を出すランプもあり、これをUV-LEDと言って、従来のUV蛍光灯(ブラックライト)に変わって普及しつつあります。
UV-LEDは紙幣識別、宝石の鑑別、樹脂の硬化などの他にイベント時に演出効果を高めるための照明にも応用されています。演出照明に使われるものは波長幅で365nm~395nmが多く、この種のものにはE26のPAR型電球や直管LEDランプがあります。
一般的にUVの出力は波長が短いほどUVに反応する物質の化学変化が大きいと言えますが価格も高くなります。
写真4 蛍光増白剤を用いた紙が紫外線LEDで青色に発光
『照明のことが分かる講座』の目次
第1章 照明の基礎知識
第2章 光源の種類と特徴
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2-9LED電球の選び方今日、一般照明用LED電球は多くの白熱電球用器具(以下、白熱灯)に使われています。そのなかで最近注目されているのが密閉対応型です。
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2-10直管形蛍光ランプ代替のLEDランプ直管LEDランプ(LED蛍光灯、直管形LEDなどともいわれる)とは直管形蛍光ランプの代替用途になるものです。
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2-11特殊照明用LEDランプ一般照明用のLEDランプ以外に特殊な用途を持ったLEDランプがあります。ここではその幾つかを紹介いたします。
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2-12有機ELと無機ELLED照明が普及しつつあるなかで、いまELが注目されています。ELはLEDの技術では難しいとされる、薄くてぎらつきのない面発光を特徴とする光源です。



