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空調設備の基礎講座

私たちは、室内外の状況変化に応じて温度や湿度などを調節するために、暖房、冷房、換気などの「空調設備」を使用します。本連載では、空調設備の役割・目的から各種設備の特徴まで、快適に過ごすために知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第5章 空調設備と省エネ

5-5 太陽光の利用(太陽光発電)

太陽光発電

太陽光発電で効率よく発電量を得るためには、緯度によって違いはありますが、日本の場合であれば、だいたい南向き30°程度の角度でソーラーパネルを設置します。十分な発電量を見込むには日陰にならない日照条件やソーラーパネルの設置面積を確保する必要があります。一般住宅用、公共、農業、産業用など、システムの規模はさまざまですが、以下に一般住宅などで使われる比較的小規模な太陽光発電システムの構成例を示します。

太陽光発電

十分な発電量を見込める設置条件が整っていても発電量は天候に左右されますし、当然のことですが、太陽光が当たらない夜間の発電はできません。一般的に、電力会社から供給される電力と併用して補助的に太陽光発電を導入する場合がほとんどです。それでも発電によってつくられた電力で電気料金を節約できるなどの一助にはなりますし、十分な発電量を得られる場合は電力会社に電気を売ることもできます。

システムの導入に関して国や地方自治体からの助成金制度の利用ができるなどがありますが、導入のイニシャルコストは、まだやや高い傾向にあります。また、導入後のメンテナンスにかかる費用も必要になってくるので、システム導入には慎重な検討を要しますが、エネルギーの有効活用という面では、普及してもらいたいシステムといえます。

最近、少し郊外へ足を延ばすと、太陽光発電のソーラーパネルをよく目にします。規模はさまざまですが、取り組みとしては活発に行われているように感じます。しかし、太陽光発電にも賛成意見ばかりではありません。日当たりの良いところに敷き詰められるソーラーパネルが自然の景観を損ねるなどの反対意見があるのも見逃せない事実です。せっかくの省エネの取り組みも環境を破壊するのであれば考えものです。特に大規模な太陽光発電については今後の動向を注視する必要はありそうです。

太陽光を利用するパッシブデザインの例

太陽光をうまく建築的な工夫で取り入れようという動きもあります。もちろんずいぶん昔から太陽光を建物に取り入れる工夫はされていますが、最近見られる太陽光を利用するパッシブデザインの一例を次に示します。

  • ライトシェルフ
    ライトシェルフで太陽の直射日光を遮り、それと同時に、直射日光を拡散させて室内の奥まで光を導く手法のことをライトシェルフといいます。特に間口が狭くて奥行きのある部屋のように、部屋の奥まで光が届かないような場合にライトシェルフは有効です。学校の教室などでの利用例もあります。
  • ライトコート
    採光が届きにくい建物の内部に吹き抜けとなる中庭を設けて、中庭に面した居室などに採光と通風を取り込む建築的な工夫をライトコート(光庭)といいます。かなり贅沢な土地の使い方になりますが、中庭にプライバシーを確保できますし、開放的な空間を演出することができます。

太陽光を利用するパッシブデザインの例

執筆: イラストレーター・ライター 菊地至

『空調設備の基礎講座』の目次

第1章 空調設備を学ぶ前に

第2章 空調方式

第3章 熱源と主要機器

第4章 熱搬送設備

第5章 空調設備と省エネ

第6章 個別暖房と直接暖房

第7章 換気設備

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