工具の通販モノタロウ 空調・電設資材 空調設備の基礎講座 圧縮式冷凍機の冷凍サイクル

空調設備の基礎講座

私たちは、室内外の状況変化に応じて温度や湿度などを調節するために、暖房、冷房、換気などの「空調設備」を使用します。本連載では、空調設備の役割・目的から各種設備の特徴まで、快適に過ごすために知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第3章 熱源と主要機器

3-3 圧縮式冷凍機の冷凍サイクル

圧縮式冷凍機とは

圧縮式冷凍機は内部に圧縮機を持つことが特徴で、圧縮機を使って冷媒を圧縮して空気や水を冷やすタイプの冷凍機を圧縮式冷凍機といいます。なお、圧縮機は英語でCompressorなのでコンプレッサーともいいます。圧縮式冷凍機にもいくつか種類がありますが、圧縮機での圧縮方法の違いから「容積式圧縮機」や「遠心式圧縮機」に大きく分けられます。

  • 容積式圧縮機
    容積式圧縮機とはシリンダーの容積変化で気体を圧縮するもので、レシプロ式、ロータリー式、スクロール式、スクリュー式などが代表的です。
    レシプロ式の圧縮機はピストンの往復運動で気体を吸込む、圧縮する、吐き出すといった一連の流れをつくりだす圧縮機のことです。レシプロ式圧縮機を使った冷凍機を往復式冷凍機(レシプロ式冷凍機)といいます。レシプロ式は圧縮機の中でもシンプルな構造で歴史も長く、小?中型の冷凍機で広く使われ、信頼性も高いです。ただし、ピストンの往復運動による振動や騒音は起こりやすくなります。
    ロータリー式やスクロール式はロータやスクロールの回転によって気体を吸込む、圧縮する、吐き出すといった流れをつくりだす圧縮機です。レシプロ式に比べると歴史は浅いですが、音が静かで小型化できるなどから近年の家庭用ルームエアコンなどでは主流になっています。スクリュー式はネジ式のロータの回転を利用する圧縮機です。耐久性やメンテナンス性がよいなどから中?大型の空調、ヒートポンプの用途でよく使われます。
  • 遠心式圧縮機
    遠心式圧縮機を持つ冷凍機は、ターボ冷凍機ともいわれ、羽根車の回転で発生する遠心力で冷媒を圧縮するタイプの冷凍機です。中?大型の冷凍機で多く使われ、圧縮機本体の設計や制作に高い技術が求められるなどから、総じて往復式と比較するとやや高価になります。

圧縮式冷凍機の冷凍サイクル

圧縮式冷凍機は主に圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器で構成されています。空調設備における冷凍機の役割は、最終的には空気の温度を下げることですが、その前に、空調機におくる冷水をつくる必要があります。冷凍機では冷水をつくるために、圧縮→凝縮→膨張→蒸発を繰り返して冷水の冷却を維持します。この繰り返される一連の循環を「冷凍サイクル」といい、冷凍サイクルの中で冷媒は気体から液体、液体から再び気体への状態変化を繰り返します。

圧縮式冷凍機の冷凍サイクル

圧縮式冷凍機の冷凍サイクル



では、以下に冷凍サイクルにおいて各機器がどのような働きをしているのかを簡単に説明します。

  • 圧縮機
    気体や液体は圧縮すると温度が高くなる性質があります。圧縮機では低温・低圧の気体の冷媒を圧縮することで、高温・高圧の気体に変化させます。
  • 凝縮器
    凝縮器では、圧縮機から送られてきた高温・高圧の冷媒を凝縮することで冷却水との間で熱交換をします。冷媒の熱が冷却水へ移動したことで、冷媒は高温・高圧の気体から中温・高圧の液体へと変化します。
  • 膨張弁
    膨張弁では、凝縮器から送られてきた中温・高圧の液体の冷媒を減圧します。冷媒は減圧されることで膨張して温度が下がって、低温・低圧の液体に変化します。
  • 蒸発器
    蒸発器では、膨張弁から送られてきた低温・低圧の液体を蒸発させることで、冷水との間で熱交換をします。冷水の熱が冷媒に移動することで、冷やされた冷水は空調機に送られ、冷水の熱を汲み上げた冷媒は低温・低圧の気体に変化します。低温・低圧の気体は再び圧縮機へ送られ、冷凍サイクルを繰り返します。
執筆: イラストレーター・ライター 菊地至

『空調設備の基礎講座』の目次

第1章 空調設備を学ぶ前に

第2章 空調方式

第3章 熱源と主要機器

第4章 熱搬送設備

第5章 空調設備と省エネ

第6章 個別暖房と直接暖房

第7章 換気設備

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