工具の通販モノタロウ 空調設備の基礎講座 局所換気と全般換気

空調設備の基礎講座

私たちは、室内外の状況変化に応じて温度や湿度などを調節するために、暖房、冷房、換気などの「空調設備」を使用します。本連載では、空調設備の役割・目的から各種設備の特徴まで、快適に過ごすために知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第7章 換気設備

7-6 局所換気と全般換気

機械換気設備における換気する範囲の分類として「局所換気」と「全般換気」があります。

局所換気とは

局所換気とはオフィスのトイレ、給湯室、一般住宅のキッチン、浴室、トイレなどのように熱、水蒸気、臭気などが多く発生するところをピンポイントで換気する方法です。換気の方法としては最も一般的といっていいと思います。たとえば単独で設置されているキッチンのレンジフードファンやトイレの換気扇などは分かりやすい局所換気の例です。

全般換気とは

一昔前の日本の住宅は、ほどほどにすき間風が入ってきて常に換気されているような状態といえたのかもしれませんが、近年では住宅事情も変化して、高断熱、高気密化、あるいはシックハウス対策などの流れもあって、局所換気だけではまかないきれなくなってきた側面もあります。

全般換気とは建物全体を一つの空間として換気するシステムのことです。住宅などの24時間換気システムは全般換気のわかりやすい例です。基本的には常に建物全体を一定以上清浄に保とうというシステムです。全般換気を行うことで局所換気が必要ないという意味ではなく、局所換気と併用して計画されるのが一般的です。

全般換気を計画する際、特に重要になるのは換気経路です。換気経路はリビングなどの部屋の中でも滞在する時間が長く、新鮮空気が必要な居室から給気して、できるだけ長い換気経路を確保して汚染された空気を拡散・希釈しながら最終的にトイレや浴室などから排気するのが一般的です。全般換気を希釈換気ともいうのはこのことからです。

常識的に考えて、トイレや浴室から給気して臭気や湿気をリビングなどの室内に取り込んで居室から排気しても換気の意味がありません。そのため全般換気では、換気経路の上流側はなるべく汚染物質を排出する要因の少ない部屋にすべきで、トイレや浴室などを下流側にするのは当然のことです。

換気経路の途中にある建具については、開き戸はガラリやアンダーカットを設けて換気経路を遮らないようにします。アンダーカットとは建具と床との間に必要な1cm以上のすき間のことです。なお、ふすまや障子戸については、ある程度すき間があり、通気が確保されているとされるので換気経路の途中にこれらの建具があっても問題ないとされています。その他の注意点としては、隣の家の給気口の目の前に自分の家の排気口を取り付けたりしないことです。近隣への配慮は常識的に必要です。

執筆: イラストレーター・ライター 菊地至

『空調設備の基礎講座』の目次

第1章 空調設備を学ぶ前に

第2章 空調方式

第3章 熱源と主要機器

第4章 熱搬送設備

第5章 空調設備と省エネ

第6章 個別暖房と直接暖房

第7章 換気設備

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