工具の通販モノタロウ 空調設備の基礎講座 冷房サイクルと暖房サイクル

空調設備の基礎講座

私たちは、室内外の状況変化に応じて温度や湿度などを調節するために、暖房、冷房、換気などの「空調設備」を使用します。本連載では、空調設備の役割・目的から各種設備の特徴まで、快適に過ごすために知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第3章 熱源と主要機器

3-6 冷房サイクルと暖房サイクル

ヒートポンプで空気を冷やすしくみ

ヒートポンプの概要については前述しましたが、ここではもう少し具体的に、空気を熱源とする一般的な家庭用ルームエアコンがどのような原理で空気を冷やしたり暖めたりするのかについて考えてみたいと思います。

ルームエアコンには室外機と室内機があります。室外機には圧縮機と熱交換器が内蔵されていて、室内機には膨張弁と熱交換器が内蔵されています。熱交換器とは凝縮器や蒸発器のことですが、ヒートポンンプエアコンでは冷媒の流れを逆転させることで、凝縮器と蒸発器の役割を逆転させて、冷房と暖房を切り替えるしくみになっています。

ヒートポンプエアコンの冷・暖房サイクルのイメージ

ヒートポンプエアコンの冷・暖房サイクルのイメージ

大まかな冷・暖房のサイクルは把握できたかと思いますので、もう少し冷房サイクルについて掘り下げてみましょう。

ルームエアコンの圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器といった各主要機器の間の熱の運搬係になるのが冷媒ですが、各機器は冷媒の状態を変化させる重要な役割を担っています。

では、各機器がどのような働きをすることで、冷媒がどんな状態変化をして、最終的にどのように空気を冷やすのかを順を追って説明していきます。

  1. 圧縮機の働き
    冷房を開始するとまず、室外機側の圧縮機が作動します。圧縮機の役割は気体を圧縮して温度を上昇させることです。圧縮機内の低温・低圧の気体の冷媒は圧縮されることで高温・高圧の気体に変化します。高温・高圧の気体の冷媒は室外機側の凝縮器に送られます。
    圧縮機の働き
  2. 凝縮器の働き
    凝縮器では冷媒と外気との間で熱交換をします。冷媒の熱は外へ放たれて、冷媒は熱を放出したことで高温・高圧の気体から中温・高圧の液体に変化します。中温・高圧の液体になった冷媒は室内機側の膨張弁に送られます。
    凝縮器の働き
  3. 膨張弁の働き
    膨張弁の役割は減圧することで膨張させて冷媒の温度を下げることです。凝縮器から送られてきた中温・高圧の液体の冷媒は、膨張弁で減圧されて低温・低圧の液体に変化します。低温・低圧になった冷媒は室内機側の蒸発器に送られます。
    膨張弁の働き
  4. 蒸発器の働き
    蒸発器では冷媒と室内の空気との間で熱交換をします。室内の空気に含む熱は冷媒に移動して冷やされます。冷やされた空気は室内機内部のファンで室内に涼しい風を送ります。冷媒は室内の熱を汲み上げたことで低温・低圧の気体に変化して再び圧縮機へと戻ります。
    蒸発器の働き

ヒートポンンプの冷房サイクルは、以上の圧縮→凝縮→膨張→蒸発を繰り返すことで冷却を維持します。前述しましたが、暖房は冷房サイクルを逆転させることで、熱交換器(凝縮器と蒸発器)の役割を逆転させて暖かい空気をつくります。

執筆: イラストレーター・ライター 菊地至

『空調設備の基礎講座』の目次

第1章 空調設備を学ぶ前に

第2章 空調方式

第3章 熱源と主要機器

第4章 熱搬送設備

第5章 空調設備と省エネ

第6章 個別暖房と直接暖房

第7章 換気設備

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