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空調設備の基礎講座

私たちは、室内外の状況変化に応じて温度や湿度などを調節するために、暖房、冷房、換気などの「空調設備」を使用します。本連載では、空調設備の役割・目的から各種設備の特徴まで、快適に過ごすために知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第5章 空調設備と省エネ

5-12 コージェネレーションシステムの特徴

コージェネレーションシステムとは

コージェネレーションシステムはエネルギーの総合効率を向上させる目的で導入されるシステムで、発電機でつくられる電気と発電の際に発生する排熱の2つのエネルギーを利用するシステムです。簡単に説明すると、発電の際に発生する熱を捨ててしまうのはもったいないので、熱を回収して有効に使いましょうということです。

一般的には建物で使用する電力のすべてを電力会社から購入する場合が多いですが、近年ではコージェネレーションシステムを導入することで、一定量の発電と熱エネルギーの回収が見込めるようになってきました。特に大規模な工場などでは大幅に電力量などの削減を期待できます。ただし、システム導入にかかるイニシャルコスト、その後のメンテナンスを考えて、どの程度、メリットを受けられるかといったことを考える必要はもちろんあります。

コージェネレーションシステムでは主にガスエンジン、ガスタービン、ディーゼルエンジンなどの内燃機関を利用するものや、燃料電池を利用するもの、蒸気ボイラと蒸気タービンを利用するものがあります。いずれも発電と同時に排熱を給湯や冷暖房に利用します。

ガスエンジンは都市ガス(LNG)やプロパンガス(LPG)などのガスを燃料とします。排ガスが比較的クリーンな特徴があります。ガスタービンは都市ガスやプロパンガスなどのガスと、重油・軽油・灯油といった油のどちらの燃料でも使用できます。ディーゼルエンジンは重油・軽油・灯油を燃料とします。発電効率に優れていて、工業や農林水産業などの産業分野での導入実績も豊富です。

家庭で利用される小規模なコージェネレーションシステム

産業用途で採用される大規模なコージェネレーションシステムもありますが、近年では家庭用に小型化されたシステムもあり、代表的なものに「エコウィル」や「エネファーム」と呼ばれるコージェネレーションシステムがあります。

エコウィルは都市ガスやプロパンガスといったガスを燃料にガスエンジンで発電して、発電の際の排熱でお湯をつくり、そのお湯を貯湯ユニットに蓄えて給湯や床暖房などに利用するシステムです。システム導入のメリットは何といっても電気料金の節約ですが、発電されるのはお湯をつくる時間の長さに左右されるので、床暖房などでお湯をたくさん使う家庭ならメリットも大きくなりますが、あまりお湯を使わない場合は電力会社から供給される電力の補助的な役割と考えていいかと思います。なお、エコウィルはガスエンジンを使うので、近隣への騒音対策については必要です。

エネファームは燃料電池によって発電を行います。都市ガスやプロパンガスに含まれる水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させることによって発電するしくみです。水の電気分解の逆反応を利用するシステムで、水に電気を加えると酸素と水素に電気分解されます。この逆の反応で酸素と水素を化学反応させるとによって電気が発生するしくみになります。排熱はエコウィルと同様に貯湯ユニットに蓄えて給湯や床暖房などに利用します。長所としては燃料電池による発電なので騒音がほとんどないなどです。

執筆: イラストレーター・ライター 菊地至

『空調設備の基礎講座』の目次

第1章 空調設備を学ぶ前に

第2章 空調方式

第3章 熱源と主要機器

第4章 熱搬送設備

第5章 空調設備と省エネ

第6章 個別暖房と直接暖房

第7章 換気設備

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