工具の通販モノタロウ 空調・電設資材 空調設備の基礎講座 渦巻きポンプ・タービンポンプの特徴

空調設備の基礎講座

私たちは、室内外の状況変化に応じて温度や湿度などを調節するために、暖房、冷房、換気などの「空調設備」を使用します。本連載では、空調設備の役割・目的から各種設備の特徴まで、快適に過ごすために知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第4章 熱搬送設備

4-7 渦巻きポンプ・タービンポンプの特徴

ビルなどの空調設備では冷水、温水、冷却水などをより遠く、あるいは高いところの各機器に送るためにポンプを使います。ポンプにもいろいろな種類がありますが、羽根車を回転させて遠心力を利用して液体を送り出すポンプを総じて「遠心式ポンプ」、セントリヒューガルポンプともいいます。遠心式ポンプは非容積式ポンプの代表的なもので、空調設備に限らず、多くの用途で使われるタイプのポンプです。この遠心式ポンプの代表的なものが渦巻きポンプとタービンポンプです。

渦巻きポンプの特徴

渦巻きポンプのことをボリュートポンプともいいます。大まかな構造や特徴としては、ケーシング内部に羽根車(インペラ)があり、モータで羽根車を回転させます。内部に満たされた液体は羽根車の回転による遠心力で外側に押し付けられ、ケーシング内の渦形室(ボリュート)でさらに圧力が高められて吐出口から送り出されます。

内部のつくりによってシングルボリュート、ダブルボリュートなどのタイプがあります。シングルボリュートは液体の通り道が一つ、ダブルボリュートは通り道が二つに別れています。渦巻きポンプの特徴をまとめると、羽根車で遠心力を生み出し、ケーシング内のボリュートで圧力を高めるポンプといえます。

渦巻きポンプ

羽根車が一つのものを単段、二つ以上のものを多段といい、単段渦巻きポンプや多段渦巻きポンプがあります。揚程の高さや運転効率などからポンプのタイプを選定します。

ポンプで高い吐出の圧力を生み出すには、羽根車の回転数を上げる、羽根車を大きくするなどが考えられますが、例えば高揚程を得るために巨大な羽根車を設計しても、それを回す動力の負荷も莫大なものになりますし、ポンプ自体も大きくなって現実的ではありません。多段ポンプは羽根車を直列に並べることで、1段目から入った液体が、2段目、3段目と進むうちに徐々に圧力を高めていくつくりになっています。多段にすることでポンプの小型化や高効率化を実現しています。

多段渦巻きポンプ

タービンポンプの特徴

タービンポンプも渦巻きポンプの一種ではありますが、ボリュートポンプに無い最大の特徴は、羽根車の外周に案内羽根(ガイドベーン)がついていて効率よく圧力エネルギーに変換できるつくりになっています。ボリュートポンプと同様に単段タービンポンプや多段タービンポンプがあります。

本来、タービンポンプは案内羽根を設けることで、ボリュートポンプより高揚程を得るために使われるポンプですが、案内羽根が必要なことで、摩擦抵抗を増やす、ポンプ自体がやや大型になってしまうなど、設計が難しく、制作費も高くなる傾向にあります。加えて最近では渦形室の改良などでボリュートポンプの性能が向上しているので、制作費としても比較的安いボリュートポンプが主流になりつつあります。

執筆: イラストレーター・ライター 菊地至

『空調設備の基礎講座』の目次

第1章 空調設備を学ぶ前に

第2章 空調方式

第3章 熱源と主要機器

第4章 熱搬送設備

第5章 空調設備と省エネ

第6章 個別暖房と直接暖房

第7章 換気設備

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