工具の通販モノタロウ 空調設備の基礎講座 太陽熱の利用(ソーラーシステム)

空調設備の基礎講座

私たちは、室内外の状況変化に応じて温度や湿度などを調節するために、暖房、冷房、換気などの「空調設備」を使用します。本連載では、空調設備の役割・目的から各種設備の特徴まで、快適に過ごすために知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第5章 空調設備と省エネ

5-3 太陽熱の利用(ソーラーシステム)

私たちは太陽が放つ熱や光といったエネルギーの恩恵に授かって生きています。もっと広い視野で考えたら、いわずと知れたことですが地球そのものが太陽系の惑星の一つですから、地球全体が太陽の恩恵を享受しているわけです。

太陽のエネルギーは膨大です。この膨大なエネルギーをもっと有効に活用する方法がないかということで、近年、いろいろなシステムが開発されてきました。ここでは太陽の熱を利用する「ソーラーシステム」について解説します。ソーラーシステムに大きく分けると、液体の熱媒を循環させる「水式ソーラーシステム」、気体(空気)の熱媒を循環させる「空気式ソーラーシステム」に分けられます。

水式ソーラーシステム

水式ソーラーシステムは太陽の熱を集める集熱パネルを屋根の上などに設置して、集熱パネルと蓄熱槽の間を不凍液などの液体の熱媒を循環させてお湯をつくるシステムです。

イメージですが、やかんでお湯を沸騰させるとき、冷たい水からより、少し温められたお湯を沸騰させる方が湧き上がりの時間が早く、エネルギーのロスも少ないのが想像できると思います。この考え方をもっと大掛かりにシステム化したものが水式ソーラーシステムといえると思います。つくられたお湯は床暖房、給湯、空調の熱源として利用できます。

水式ソーラーシステム

空気式ソーラーシステム

空気式ソーラーシステムは太陽の熱で暖められた空気を熱媒にして室内に取り込むシステムです。太陽の熱を集める方法としては、集熱パネルを屋根に設置する方法やソーラーウォールといった方法があります。

集熱パネルを屋根に設置する方法

集熱パネルを屋根に設置する方法は、集熱パネルで高温になった空気を送風機ユニットで室内に循環させるシステムです。水式ソーラーシステムと併用させる。あるいは床下のコンクリートなどに蓄熱させるなどでさらに効率の良い暖房が期待できます。

集熱パネルを屋根に設置

ソーラーウォール

ソーラーウォールとは小さな孔のあいた専用のパネルを外壁に設置して、暖められた空気をファンで室内に取り込むシステムです。構造としてシンプルですが、シンプルな分、施工しやすく、メンテナンスもしやすいなどのメリットも多く、暖房費節約の一助になる優れたシステムです。

ソーラーウォール

水式や空気式のソーラーシステムは一般住宅、病院、学校、工場、温水プールなど、さまざまな建物、施設で利用されていますが、太陽熱利用の欠点はなんといっても天候に左右されるということです。空調などの熱源として安定して使うためには補助となるソーラーシステム以外の熱源が必要といえます。

執筆: イラストレーター・ライター 菊地至

『空調設備の基礎講座』の目次

第1章 空調設備を学ぶ前に

第2章 空調方式

第3章 熱源と主要機器

第4章 熱搬送設備

第5章 空調設備と省エネ

第6章 個別暖房と直接暖房

第7章 換気設備

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