工具の通販モノタロウ 空調設備の基礎講座 ファンコイルユニット方式

空調設備の基礎講座

私たちは、室内外の状況変化に応じて温度や湿度などを調節するために、暖房、冷房、換気などの「空調設備」を使用します。本連載では、空調設備の役割・目的から各種設備の特徴まで、快適に過ごすために知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第2章 空調方式

2-3 ファンコイルユニット方式

ファンコイルユニット方式

ファンコイルユニット方式はファン(送風機)とコイル(熱交換器)をユニット化したファンコイルユニット(空調機)を室内に置いて冷暖房を行う方式です。機械室などに熱源機器を集約設置して冷温水をつくります。つくられた冷温水は各室やゾーンごとに設置されるファンコイルユニットに供給され、ファンコイルユニット内部の冷温水コイルで熱交換してファンで冷温風を送り出します。

ファンコイルユニット方式

ダクト併用ファンコイルユニット方式



ファンコイルユニット方式の熱源の位置は中央熱源方式、熱輸送の面では冷水や温水を供給する水方式です。水の温度で空気の温度を調整する方式のため、水源の確保や設置場所など、水の管理には気を遣いますが、ユニットごとにON/OFFの切り替えや温度調整ができるなどからホテルの客室といった小部屋ごと、ソーンごとの空調から大規模な空調まで幅広く使われます。空調機となるファンコイルユニットは天井吊り、壁掛け、床置きなどが可能で、設置場所の選択の自由度が高いのもファンコイルユニット方式の長所の一つといえます。

なお、ファンコイルユニット方式は室内の空気を循環させる空調方式のため、別途、換気設備が必要になります。一般的には外気用空調機を設置し、屋外から新鮮な空気を取り込んでダクトで送ります。このような空調方式をダクト併用ファンコイルユニット方式といい、熱輸送の面では水・空気方式となります。

ペリメータゾーンとインテリアゾーンの空調

ペリメータゾーンとは屋外に面した壁際や窓際のことで、概ね、壁や窓から3.5?5mの範囲のことです。ペリメータゾーンは屋外からの暑さ寒さの熱的影響を受けやすい場所です。なお、ペリメータゾーンから離れて屋外からの熱的影響を受けにくい内部の空間をインテリアゾーンといいます。

ペリメータゾーンとインテリアゾーン

ペリメータゾーンとインテリアゾーン



一昔前のビルの窓際などのペリメータゾーンといえば、夏は太陽の放射熱で暑く、冬はコールドドラフトで足元が寒くなり、仕事に集中できる温熱環境とは程遠いものでした。ペリメータゾーンとインテリアゾーンの著しい温度差は、建物の利用者に不快感を与え、エネルギー効率の面でもロスが大きくなるため、現代の空調設備はペリメータゾーンとインテリアゾーンに著しい温度差が生じないように計画されます。例えばインテリアゾーンには天井カセットタイプなどを設置し、室内と室外の熱の出入りが激しいペリメータゾーンには窓下に床置きするタイプのファンコイルユニットを設置するなどで窓からの放射熱やコールドドラフトを有効に遮り、ペリメータゾーンの温熱環境を良好に保つように計画します。

執筆: イラストレーター・ライター 菊地至

『空調設備の基礎講座』の目次

第1章 空調設備を学ぶ前に

第2章 空調方式

第3章 熱源と主要機器

第4章 熱搬送設備

第5章 空調設備と省エネ

第6章 個別暖房と直接暖房

第7章 換気設備

目次をもっと見る

『空調・電設資材/電気材料』に関連するカテゴリ