空調設備の基礎講座

私たちは、室内外の状況変化に応じて温度や湿度などを調節するために、暖房、冷房、換気などの「空調設備」を使用します。本連載では、空調設備の役割・目的から各種設備の特徴まで、快適に過ごすために知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第7章 換気設備

7-4 機機械換気

機械換気はモータなどの電気的な動力を使って強制的に空気を動かして換気する方法のことです。送風機(ファン)などの機械を使って換気するので機械換気といいます。機械換気には第1種から第3種まで、3種類の換気方法がありますが、ファンなどの機械を使わない自然換気を第4種換気として、自然換気と機械換気を合わせて換気方法を4種類に分類する場合もあります。

機械換気

第1種換気とは

給気と排気の両方に送風機(ファン)などの機械を使う換気方法のことを第1種換気といいます。給気と排気の両方を機械的に調整できるので、室内圧を正圧(+)にも負圧(-)にも自由に調整することができるのが特徴です。

第1種換気は意図的に制御して確実な換気ができることから、24時間換気の居室、オフィスビル、劇場、映画館など、さまざまな建物で採用される換気方法です。また、室内と外気の熱を交換できる全熱交換器の取り付けも可能になります。なお、全熱交換器について詳しくは後述します。

第2種換気とは

第2種換気は給気を機械、排気は自然排気口による換気方法です。機械的に押し込まれた空気によって室内は常に正圧(+)になって自然に排気されます。

一般的な居室で採用される例はあまり聞きませんが、室内が常に正圧になることからチリや埃など汚染された空気が室内に入りにくくなります。このことからクリーンルームや手術室のように高い清浄度が求められる場所で採用される換気方法です。また、燃焼用の新鮮な空気を必要とするボイラ室などで採用される場合もあります。

第3種換気とは

第3種換気は排気に機械を使う換気方法です。第2種換気とは逆に排気側で強制的に室内の空気を排気するので、室内は常に負圧(-)になります。トイレ、厨房、キッチンなど、臭気、熱、水蒸気を発生する部屋などに使われる最も一般的な換気方法です。

室内が負圧になって給気側は自然に外気を取り込むことから、冬は冷たい空気を取り込み、夏はジメジメした空気を取り込むので、外気の影響を受けやすく、暖房や除湿といった空調負荷が大きくなる傾向はあります。また、天井裏などの空気を室内に引っ張ることがあるので注意は必要です。特に夏場の天井裏は屋根からの放射熱で高温になりがちです。暑い空気を室内に引っ張り、冷房の負荷を大きくする場合がありますし、シックハウスの観点では、天井裏は高温になることで有害物質が揮発しやすくなるので、気密層や通気止めになどによる対策も必要になります。

執筆: イラストレーター・ライター 菊地至

『空調設備の基礎講座』の目次

第1章 空調設備を学ぶ前に

第2章 空調方式

第3章 熱源と主要機器

第4章 熱搬送設備

第5章 空調設備と省エネ

第6章 個別暖房と直接暖房

第7章 換気設備

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