工具の通販モノタロウ 空調・電設資材 空調設備の基礎講座 外気冷房・ナイトパージで涼しい外気を取り込む

空調設備の基礎講座

私たちは、室内外の状況変化に応じて温度や湿度などを調節するために、暖房、冷房、換気などの「空調設備」を使用します。本連載では、空調設備の役割・目的から各種設備の特徴まで、快適に過ごすために知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第5章 空調設備と省エネ

5-7 外気冷房・ナイトパージで涼しい外気を取り込む

建物の内部では人体、OA機器、家電製品などからの発熱、建物の躯体からの放熱など、空調設備の冷房負荷を大きくさせる要素はたくさんあります。少しでも冷房負荷を軽減させようということで、涼しい外気を積極的に建物内に取り入れる「外気冷房」や「ナイトパージ」といった空調システムがあります。

外気冷房

オフィスビルなどで考えてみると、パソコン社会の現代は昔に比べるとOA機器からの発熱量が多くなりました。現代では電気室、サーバー室など、夏だけでなく冬でも冷房が必要というケースもあります。「外気冷房」はこのように通年、冷房が必要な室内に特に有効な空調システムといえます。

外気冷房では、冬期や春、秋といった中間期のように外気温が室内の設定温度より低いときに外気を積極的に取り入れることで冷房負荷を軽減して省エネを図ることができます。なお、直接外気を取り込むので、除湿や加湿、除塵処理などは必要になるのが一般的です。

外気冷房

外気冷房

なお、直接外気を取り込む外気冷房とは解釈が違いますが、外気温が低い冬期や中間期に冷却塔(クーリングタワー)を使って、空調用などの冷水を供給するシステムもあります。冷凍機を休ませて負荷を軽減させることで省エネを図るしくみになっています。このようなシステムを「フリークーリング」といいます。

ナイトパージ

コンクリート造などの建物は昼間の太陽の熱を躯体に蓄えて一旦、蓄熱するとなかなか冷めない性質があります。このような建物では朝まで躯体からの放熱が続いて室内が冷めないまま翌朝を迎え、冷房負荷を大きくしてしまうといったことが起こりがちです。

「ナイトパージ」とは夜間や早朝の外気が室内の温度よりも低い場合、涼しい外気を建物に取り込んで、建物に蓄熱された熱をあらかじめ逃がしておきます。そうすることで翌日の空調の立ち上がりをよくして、冷房負荷を軽くするシステムです。

熱を排出して冷房負荷を軽減すると同時に、室内の汚染物質や悪臭などについても翌朝の始業時までに排出するようにすれば、建物の利用者としても気持ちよく過ごせるというものです。ナイトパージは内部発熱量の多い建物、断熱性や気密性の高い建物などで特に有効な空調システムといえます。

ナイトパージ

ナイトパージ

近年の住宅、ビル、店舗などの照明器具は白熱灯や蛍光灯からLED照明が利用されるようになって発熱量もだいぶ抑えられるようになりました。また、消費電力や待機電力を抑えるといった取り組みも少なからず空調の負荷に影響を与えると思われますので、身近なところから省エネを心がけたいものです。

執筆: イラストレーター・ライター 菊地至

『空調設備の基礎講座』の目次

第1章 空調設備を学ぶ前に

第2章 空調方式

第3章 熱源と主要機器

第4章 熱搬送設備

第5章 空調設備と省エネ

第6章 個別暖房と直接暖房

第7章 換気設備

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