空調設備の基礎講座

私たちは、室内外の状況変化に応じて温度や湿度などを調節するために、暖房、冷房、換気などの「空調設備」を使用します。本連載では、空調設備の役割・目的から各種設備の特徴まで、快適に過ごすために知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第4章 熱搬送設備

4-11 配管工事の注意点

土木一式工事、建築一式工事、大工工事、電気工事など、建設業法上の建設工事にはいくつか種類があって、空調、給排水衛生、ガス設備などの配管工事のことを建設業法上「管工事」といいます。実際に工事現場で配管を扱うには専門知識が必要で、1級や2級管工事施工管理技師などの監理技術者が必要になります。

空調設備でいえば、冷水、温水、蒸気、冷媒などを流すための配管工事が代表的な管工事です。なお、ダクト工事については前述したのでここでは触れませんが、ダクト工事も空気や煙などを通す管を扱う工事なので、建設業法上は管工事に該当します。

上下水道の配管工事を「管工事」と混同する人もいますが、上下水道などの公共の配管工事は、建設業法上「水道施設工事」に定義されます。水道施設工事は家屋や敷地内の設備配管を扱う管工事とは分けて考えられます。

管の接続

管は1本では役に立ちませんが、機器や管同士などを接続することで配管系統を形成し、流体を循環させて空調設備を構成します。接続部分の破裂や破損などといったことのないよう、安全で信頼できる接続が肝心です。

配管材料によって接続方法はさまざまですし、実際の接続はプロにお任せする他ありませんが、鋼管の基本的な接続方法となる「ねじ込み接続」「フランジ接続」「溶接接続」についてごく簡単に触れることにします。

ねじ込み接続は「雄ねじ」を「雌ねじ」にねじ込んで接続する方法です。比較的小口径の管同士の接続によく使われる方法です。

 「テーパねじ」や「平行ねじ」がありますが、設備機器の配管で使われる多くは傾斜のついた構造のテーパねじです。配管の種類によって使うものも違いますが、接続部分の密着性や気密性を高めるために、ねじ山にシールテープなどを使います。なお、パイプをねじ込んだり、緩めたりするのに必ず使う工具がパイプレンチです。

ねじ込み接続

ねじ込み接続



パイプレンチ

パイプレンチ



フランジ接続は、つば状のフランジをボルトとナットで締め付けて接続する、高圧で大口径の管にも対応できる接続方法です。フランジ接続は脱着がしやすい利点があるので、弁類やポンプなど、メンテナンスや交換が必要とされる配管まわりでよく使われる接続方法です。

話が少しそれますが、フランジ接続に必ず使うボルトとナットですが、どちらがボルトでどちらがナットなのか分からないという人は案外多いようです。建築に携わる人は大丈夫でしょうが、ボルトは雄ねじ側、ナットは雌ねじ側です。

フランジ接続

フランジ接続



溶接接続は、溶接によって管や継手を一体化させる接続方法なので、プロが確実に溶接を行えば漏れなどの心配もなく、高圧、高温の蒸気配管などにも対応できる安全で信頼できる接続方法です。「差込み溶接」と、「突合せ溶接」があります。

溶接接続

執筆: イラストレーター・ライター 菊地至

『空調設備の基礎講座』の目次

第1章 空調設備を学ぶ前に

第2章 空調方式

第3章 熱源と主要機器

第4章 熱搬送設備

第5章 空調設備と省エネ

第6章 個別暖房と直接暖房

第7章 換気設備

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