工具の通販モノタロウ 空調設備の基礎講座 ダクトの種類と特徴

空調設備の基礎講座

私たちは、室内外の状況変化に応じて温度や湿度などを調節するために、暖房、冷房、換気などの「空調設備」を使用します。本連載では、空調設備の役割・目的から各種設備の特徴まで、快適に過ごすために知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第4章 熱搬送設備

4-2 ダクトの種類と特徴

ダクトの種類

空気の通り道のことを「風道」といいますが、空調設備における風道となるのがダクトの役割です。空調設備では室外からの新鮮な空気を取り入れるため、空調機から調和された空気を必要な場所に届けるためなどにダクトが使われます。その他、排煙、換気などでもダクトは使われます。

水道管、下水道管、各種ホースなど、液体を運ぶ目的で使われる管の断面は丸い形をしているものが多いです。これらは無意味に丸い形をしている訳ではなく、丸形は抵抗が少なく、エネルギーロスを抑えることができるからです。ダクトの基本的な形に丸ダクト、角ダクト、オーバルダクトがありますが、ダクトについても水道管などと同様で、丸ダクトが最も抵抗が少なくスムーズに内部の空気を流します。丸ダクトが高速ダクトに適しているのはそのためです。板状の鋼材をらせん状に巻いて丸形を形成するダクトをスパイラルダクトといいます。

ダクトの形

ダクトの形



角ダクトは矩形ダクトともいわれ、丸ダクトに比べると抵抗が多くなります。そのため一般的に低速ダクトに多く使われます。角ダクトのように断面に角があるダクトは、角に応力が集中するので、ある程度の材料の厚みも必要になります。

断面は四角形より六角形、六角形より八角形といったように円に近い方がスムーズに風を流しますが、あまり複雑な断面をつくるのは難しく、コストもかかるので、現実的には四角形のダクトになります。四角形の中でも正方形に近い方が抵抗は少なくなりますが、狭い天井裏にダクトを通すなどを考えると、扁平な断面の方が納まりがよいということもあります。このようなことから角ダクトにはアスペクト比(長辺/短辺)が設定されていて、悪くてもアスペクト比は4以下にするようにします。正方形のアスペクト比が1なので、値が小さい方が抵抗は少なくなりますが、一般的にはアスペクト比は1.5~2程度に設定します。

オーバルダクトは丸ダクトを押しつぶしたような扁平な形をしています。空気抵抗の少ない丸ダクトと納まりのよい角ダクトの利点を兼ね備えたダクトといえます。

ダクトの材質は亜鉛めっき鋼板が一般的ですが、使用場所や耐湿性、耐食性などを考慮してガルバリウム鋼板製、ステンレス製、塩化ビニル製などもあります。

ダクトの継手

送風時のエネルギーロスなどを考えると、空調機から調和された空気の最終出口となる吹出口まで真っすぐダクトを通すのが理想ですが、実際の施工ではダクトを途中で分岐したり、風の向きを変えたりする必要があります。変形に対応する継手の一例として、ダクトの曲がりにはエルボ、サイズの違うダクトの接続にはレジューサー、風を分岐させるT管、Y管などさまざまなものがあります。

ダクトの継手

ダクトの継手



変形に対応する継手はさまざまありますが、変形箇所が多くなればエネルギーロスも多くなりますし、振動や騒音にも影響を与えるので、設計の段階でなるべく変形箇所の少ないダクトルートを検討することが肝心です。

執筆: イラストレーター・ライター 菊地至

『空調設備の基礎講座』の目次

第1章 空調設備を学ぶ前に

第2章 空調方式

第3章 熱源と主要機器

第4章 熱搬送設備

第5章 空調設備と省エネ

第6章 個別暖房と直接暖房

第7章 換気設備

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