工具の通販モノタロウ 空調設備の基礎講座 ポンプや送風機の設置

空調設備の基礎講座

私たちは、室内外の状況変化に応じて温度や湿度などを調節するために、暖房、冷房、換気などの「空調設備」を使用します。本連載では、空調設備の役割・目的から各種設備の特徴まで、快適に過ごすために知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第4章 熱搬送設備

4-9 ポンプや送風機の設置

ポンプを設置する際は、そのポンプを長く、安全に使うため、適切な据付工事が施されているかを確認する必要があります。ポンプにもいろいろありますが、ここでは空調設備でよく使う、陸上で使われるボリュートポンプやタービンポンプを設置する上での注意点についていくつか紹介します。実際に現場でポンプの据付をするのは、その道のプロの方なので、実際のところは専門の技術者や職人にお任せするしかありませんが、ざっと据付の要点を把握しておきましょう。

設置スペースなどを考慮する

 「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ということわざがありますが、ポンプの容量については、小さければ役目を果たしませんし、大きすぎれば不経済です。適正なものを選択します。何事もほどほどが肝心です。

設置場所については、後々の点検スペースや搬入、搬出についても考慮して適正な面積、天井高さなどの設置スペースを確保する必要があります。

大規模な空調設備の場合は、設置したポンプが万が一故障したとき、設備全体の機能が停止するようなことにならないよう、予備のポンプを備えることも必要です。

防振対策

ポンプなどの振動する機器の場合は、繰り返される振動によって、周りの配管などが金属疲労を起こして破壊するケースも考えられるので、特に設備機器の場合は防振対策が肝心といえますが、それ以前にポンプと電動機(モータ)との軸芯に狂いがあると振動も大きくなり、機器も正常に作動しないので、まずは軸芯に狂いがないか、カップリングにずれがないか、ポンプは水平に据え付けられているかなどの基本的なことをしっかり確認した上で、防振対策を行います。

ボリュートポンプやタービンポンプのほとんどは床置きになりますが、据付の際は高さ30cm以上のコンクリート製の基礎の上に「防振架台」を設けるなどによって、ポンプの振動を床に伝えないような対策が取られます。防振架台には「防振ゴム」が備わっていて、床と縁を切るアイソレータの役割をします。

丸型防振ゴム

配管との接続部分については、配管に振動が伝達しないように柔軟性、伸縮性のある「防振継手」が使われます。防振継手には合成ゴムなど素材がよく使われます。

防振継手

ポンプや送風機の電動機(モータ)への電力供給の配管にも振動を吸収できる「金属製可とう電線管」を配線の「さや管」に使うなどの配慮も必要になります。さや管とは径のひとまわり大きい保護管のことです。

金属製可とう電線管

配管の曲がりは少なくする

ポンプの性能を十分に引き出せるように、配管の曲がりはなるべく少なく設計し、配管自体の荷重がポンプに直接かかることがないように、形鋼などで配管を支持するようにします。

執筆: イラストレーター・ライター 菊地至

『空調設備の基礎講座』の目次

第1章 空調設備を学ぶ前に

第2章 空調方式

第3章 熱源と主要機器

第4章 熱搬送設備

第5章 空調設備と省エネ

第6章 個別暖房と直接暖房

第7章 換気設備

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