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空調設備の基礎講座

私たちは、室内外の状況変化に応じて温度や湿度などを調節するために、暖房、冷房、換気などの「空調設備」を使用します。本連載では、空調設備の役割・目的から各種設備の特徴まで、快適に過ごすために知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第5章 空調設備と省エネ

5-2 空調設備で使われるエネルギー

エネルギーについて

現代社会の暮らしはエネルギーを消費して成り立っています。照明、パソコン、冷蔵庫、エアコンなど私たちの身のまわりの多くのものが電気を使って動いています。もし、電気が使えなくなってしまったら、現代人の多くは仕事も生活も成り立たなくなってしまいます。エネルギーのおおまかな流れを以下に示します。

エネルギーのおおまかな流れ

人類はエネルギーと共に発達してきました。遥か昔は枯れた木などを燃やして暮らしていましたが、やがて蒸気機関を利用して石炭を使うようになり、18世紀の産業革命以降は工業が急速に発達し、人口も急増して、より高効率な石油がエネルギーの主役になります。石油は車、飛行機、空調設備などの燃料です。現在でも、大部分は石油、石炭、液化天然ガスといった化石由来のエエネルギーに依存しています。石油製品にはガソリン、灯油、軽油、重油、液化石油ガス(プロパンガス)など、現代の生活や空調設備にも欠かせないエネルギー源です。石炭は主に火力発電で電気に変わり、液化天然ガスは都市ガスとして使われます。

エネルギーの供給元になる一次エネルギーには前述した石油、石炭などの化石エネルギーと非化石エネルギーがあります。非化石エネルギーを大きく分けると原子力エネルギーと再生可能エネルギーに分けられます。

非化石エネルギーの代表といえる原子力エネルギーは、ウランを燃料にして原子力発電所で電気をつくります。少ない資源で効率よく発電する省エネの考え方でいえば、化石エネルギーよりはるかに高効率なエネルギー源といえますが、先の東日本大震災の原発事故、核廃棄物の処理問題、地震大国の日本で原発を保有するリスクなど、一方でさまざまな問題を抱えているのも事実です。また、燃料になるウランは化石燃料ではありませんが、鉱物資源なので、再生可能エネルギーと違い、枯渇する恐れのあるエネルギー源ではあります。

原子力エネルギー以外の非化石エネルギーは「再生可能エネルギー」といわれます。名前の通り、何度も繰り返して再生利用ができるエネルギーなので再生可能エネルギーといいます。発電に関することでいえば、太陽光、水力、風力、地熱、バイオマスなどによる発電です。再生可能エネルギーによる発電は実用化されている例も多数ありますし、今後も期待したいエネルギーの利用方法ですが、現状では再生可能エネルギーだけで日本のエネルギー消費をまかなえるほどではありません。

環境問題、人口の増加問題、省エネに関することなどを考えると、いずれは枯渇する恐れのある化石エネルギーに依存する体質から抜け出す必要はありそうです。100%再生可能エネルギーで暮らせる未来はくるのでしょうか。

執筆: イラストレーター・ライター 菊地至

『空調設備の基礎講座』の目次

第1章 空調設備を学ぶ前に

第2章 空調方式

第3章 熱源と主要機器

第4章 熱搬送設備

第5章 空調設備と省エネ

第6章 個別暖房と直接暖房

第7章 換気設備

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