工具の通販モノタロウ 空調設備の基礎講座 ボイラの取扱い方法

空調設備の基礎講座

私たちは、室内外の状況変化に応じて温度や湿度などを調節するために、暖房、冷房、換気などの「空調設備」を使用します。本連載では、空調設備の役割・目的から各種設備の特徴まで、快適に過ごすために知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第3章 熱源と主要機器

3-11 ボイラの取扱い方法

ボイラの適用区分

ボイラは常圧で使われるのではなく、缶体には圧力がかかっていて、燃焼にも可燃性のガスや重油などが使われることから、取り扱い方を間違えたり、メンテナンスを怠るとボイラの破裂や爆発といった大事故につながる場合もあります。

このようなことから簡易ボイラ以外のボイラは、法(労働安全衛生法など)によって構造、取り扱い方、燃焼の理論、事故の防止方法、関係法令などの知識を身につけた者でなければ、取り扱うことができないルールになっています。

ボイラを規模や構造などから1.簡易ボイラ、2.小型ボイラ、3.小規模ボイラ、4.ボイラに区分して、蒸気ボイラ、温水ボイラ、貫流ボイラの適用区分を以下に示します。なお、蒸気ボイラの場合は、胴の内径と長さなどによって適用区分が違ったり、その他、除外規定などはありますが、大まかな適用区分を以下に示します。

ボイラの取扱い方法

  1. 簡易ボイラ
    使用圧力や伝熱面積などの規模も小さく、危険性も低いと判断されたボイラが簡易ボイラです。簡易ボイラは法的には取り扱いに資格が不要で、検査義務もありませんが、一般に、安全に使うためには適切な検査や保全管理は必要です。なお、簡易ボイラという名称は、法で扱われる名称ではありませんが、区分上、一般的に簡易ボイラとよばれることが多いです。
  2. 小型ボイラ
    小型ボイラを取り扱う最低条件は、学科で7時間以上、実技で4時間以上の講習を受けて「小型ボイラー取扱業務特別教育」を修了した者です。小型ボイラより規模の大きいボイラには、設置の報告、定期自主検査なども義務付けられます。
  3. 小規模ボイラ
    小規模ボイラを取り扱う最低条件は、14時間以上の学科講習を受けて「ボイラー取扱技能講習」を修了した者です。なお、小規模ボイラという名称も法で扱われる名称ではありませんが、取り扱い資格などの区分上、一般的に小規模ボイラといわれることが多いです。
  4. ボイラ
    小規模ボイラ以上のボイラを扱うためには国家資格となる「ボイラー技士免許」が必要です。上位から特級ボイラー技士、一級ボイラー技士、二級ボイラー技士となっていて、3種類のボイラー技士免許があります。ボイラを取り扱う上で法的に事業者が選任しなければならないボイラー取扱作業主任者になるためや、ボイラの規模などに応じて必要な免許が違います。

ボイラを維持するためには、前述したボイラを取り扱う「ボイラー技士」の他に「ボイラー整備士」や「ボイラー溶接士」といった整備や修理に関する有資格者も必要になります。ボイラー整備士はボイラーに不備があった場合に整備をすることができる資格です。ボイラー技士はボイラーの運転に関する取り扱いはできますが、整備はできません。整備に関しては整備のスペシャリストが必要になります。また、ボイラーを溶接で修理するような場合は危険度も高く、確実な溶接が求められるので、専門知識があるボイラー溶接士が必要になります。

ボイラの設置に関して、詳しく触れませんが、要点としては、万が一の危険に備えてボイラの周りには可燃物は置かない。あるいは可燃物との距離を十分にとります。また、燃焼のために必要な空気を十分に確保することや発熱を取り除く換気についても、配慮が必要になります。

執筆: イラストレーター・ライター 菊地至

『空調設備の基礎講座』の目次

第1章 空調設備を学ぶ前に

第2章 空調方式

第3章 熱源と主要機器

第4章 熱搬送設備

第5章 空調設備と省エネ

第6章 個別暖房と直接暖房

第7章 換気設備

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