工具の通販モノタロウ 空調設備の基礎講座 炉筒煙管ボイラの特徴

空調設備の基礎講座

私たちは、室内外の状況変化に応じて温度や湿度などを調節するために、暖房、冷房、換気などの「空調設備」を使用します。本連載では、空調設備の役割・目的から各種設備の特徴まで、快適に過ごすために知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第3章 熱源と主要機器

3-8 炉筒煙管ボイラの特徴

ボイラの種類

家庭で手っ取り早く熱湯が欲しいときは「やかん」に水を入れて加熱したり、ポットでお湯を沸かすなどで熱湯をつくります。オフィスビルの空調設備や給湯設備でも熱湯や蒸気が必要になります。そこで活躍するのがボイラです。大掛かりで構造も複雑になりますが、ボイラの役割の大雑把なイメージは、巨大で高性能な「やかん」です。

ボイル(沸騰)するという言葉のイメージ通り、密閉された容器に水などを入れて、ガスや重油など何らかの燃料で燃焼、加熱して、圧力をかけて効率よく沸騰させて蒸気や温水をつくる装置がボイラです。なお、最終的に蒸気をつくるボイラを「蒸気ボイラ」、温水をつくるボイラを「温水ボイラ」といいます。

例えば単一ダクト方式の空調設備では、最終的に暖房の温風をつくるための前段階として、熱交換のための温水や蒸気を効率よく取り出す必要があるので、ボイラが必要になります。ボイラは圧力のかかった容器で、取り扱い方によっては危険なため、工事関係者や専門業者などでもない限り、大規模なビルなどのボイラを簡単に見ることはできませんが、機械室やボイラ室などに設置され、専門知識のあるプロの手で管理されて、私たちの暮らしを支えています。

ボイラには以下のような種類があります。

ボイラの種類

炉筒煙管ボイラ

図で示すように特殊なボイラもありますが、ここでは、もっともポピュラーな炉筒煙管ボイラについて解説します。

炉筒煙管ボイラは丸ボイラの一種です。丸ボイラにも、立てボイラ、炉筒ボイラ、煙管ボイラ、炉筒煙管ボイラといった種類がありますが、炉筒煙管ボイラは丸ボイラの中でもっとも主流で、空調設備でもよく使われるボイラです。

丸ボイラ全般の特徴をいくつか挙げると、水管ボイラなどと比べると構造がシンプルです。構造がシンプルということはイニシャルコストとしても安くなり、点検や清掃といった維持管理が楽で、ランニングコストも比較的安く済むことにつながります。また、ボイラ内部の伝熱面積あたりの保有水量が多いので、蒸気をつくるのにやや時間がかかるデメリットがありますが、保有水量が多い分、負荷変動時に安定して蒸気を供給できるなどのメリットもあります。

炉筒煙管ボイラは読んで字のごとくですが、炉筒(ろとう)と煙管(えんかん)で構成されたボイラです。炉筒とは円筒状の燃焼室のこと、煙管とは内部に燃焼したガス(煙)を通す管のことです。

炉筒部分で燃焼したガスが複数の煙管群を伝わって外に排出されるまでの間に、ボイラ内の水に熱を伝えて蒸気をつくります。炉筒部分は波型の形状にするなどで、伝熱面積を増やして効率よく熱を伝える工夫がされています。近年ではコンパクトにパッケージ化する技術も進み、排ガスを再循環させるなどでより燃焼効率の高い製品もつくられています。

炉筒煙管ボイラ

執筆: イラストレーター・ライター 菊地至

『空調設備の基礎講座』の目次

第1章 空調設備を学ぶ前に

第2章 空調方式

第3章 熱源と主要機器

第4章 熱搬送設備

第5章 空調設備と省エネ

第6章 個別暖房と直接暖房

第7章 換気設備

目次をもっと見る

『空調・電設資材/電気材料』に関連するカテゴリ