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空調設備の基礎講座
私たちは、室内外の状況変化に応じて温度や湿度などを調節するために、暖房、冷房、換気などの「空調設備」を使用します。本連載では、空調設備の役割・目的から各種設備の特徴まで、快適に過ごすために知っておくべき基本的な事項を紹介していきます。
第1章 空調設備を学ぶ前に

1-2 人の温熱感覚を左右する要素

温熱感覚とは、室内において人が感じる暑さ寒さの感覚のことです。温熱感覚を左右する要素には1.気温、2.湿度、3.気流、4.放射、5.代謝量、6.着衣量があります。 これら6つの要素を「温熱6要素」といい、気温、湿度、気流、放射の4つは環境側の要素、代謝量と着衣量は人体側の要素です。

1.気温

室内の温度は一般に17〜28℃が快適といわれますが、夏と冬では人が快適と感じる温度は違います。人はある程度、季節の変化に適応して暮らしているので、外気との温度差が著しいとストレスを感じます。一般に、夏は25〜28℃、冬は17〜22℃が快適と感じる範囲です。

室内の上下の温度差には注意が必要です。暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ移動するので、特に吹き抜けなど天井高さがある空間では、上下の温度差ができやすくなります。よく「頭寒足熱」といわれますが、私たちは足元が寒いと実際の温度よりも寒く感じてしまいます。

上下の温度差対策としては、空気を停滞させないことが肝心なので、上部に窓や換気扇を設けて暖かい空気を外に逃がす。シーリングファンやサーキュレーターで空気を循環させるなども有効です。 なお、室内では座っている時間が長いので、椅子に座った状態で足のくるぶしから頭までの高さを目安とし、床上10cm〜1.1mの間で3℃以内の温度差にすることが理想的とされています。

  • シーリングファン
  • サーキュレーター
2.湿度

高温で湿度が高ければ実際の温度より暑く感じ、同じ温度でも湿度が低ければ暑さがやわらぐといったように、人が感じる体感温度は湿度によって変わります。

私たちは気温が高くなると汗をかきます。汗には体表面から気化熱を奪い、蒸発して体表面を冷ます作用があります。梅雨時期など、高温高湿になると人は不快感を感じますが、これは湿度が高いことで汗が蒸発しにくくなり、体表面を十分に冷ますことができないからです。

建築基準法上の室内の湿度の目安は40〜70%といわれますが、一般には40〜60%程度が快適範囲といわれます。日本の夏は高温多湿ですが、湿度が高すぎるとカビやダニが発生しやすくなるので、夏は60%以下を保つようにします。 反対に冬は乾燥しがちですが、乾燥しすぎるとインフルエンザウイルスが活発化し、風邪を引きやすくなるので、冬は40%以上の湿度を保つようにします。

3.気流

昔から夏に涼をとる手段として「せんす」や「うちわ」が使われていたように、人は高温でも風があると汗の蒸発が促進されて実際の温度より涼しく感じます。

風をうまく扱うと人は快適と感じますが、風を受け続けると、体の熱(気化熱)が奪われて低体温症になるおそれがあります。扇風機やエアコンを付けっぱなしで就寝するなどは特に危険です。

冬の暖房時など、窓やドアから冷たい気流が足下に流れ込んで寒く感じることがあります。このような局所的に不快感を与える冷気流を「コールドドラフト」といいます。冬のコールドドラフト対策としては、窓際に暖房器具を設置するなども有効です。

4.放射

放射熱とは空間を伝わる熱のことですが、室内では壁、窓、床、天井などから放射熱を受けて人の温熱感覚に影響を与えます。同じ室温でも周囲の壁などの温度が高いと温かく感じますが、逆に周囲の温度が低いと寒く感じます。

建物の断熱性などにもよりますが、室温と放射温度の差が著しいと人は不快感を感じます。壁などに対する温度差の限界は10℃以内といわれます。

5.代謝量

代謝量とは、運動や作業することによって発生するエネルギーのことです。運動して代謝が上がると温かく感じるように、代謝量も人が感じる温熱感覚の要素です。

椅子にすわって安静にしている状態の標準的な成人の代謝量は58.2〔W/u〕で、この値を代謝量の基準値1met(メット)としています。

6.着衣量

 同じ温度でも着る服によって暑さ寒さの感覚は違います。服には断熱性や保温性があるので、人が着ている服も温熱感覚を左右します。

着衣量は、clothes(衣服)の頭文字を取ってclo(クロ)という単位で表されます。気温21℃、相対湿度50%、気流0.1m/sの室内で、快適と感じる着衣量の熱抵抗値を1cloとしています。なお、1cloは標準的なスーツ姿に相当する値で、着衣量によって空調の温度設定も違ってきます。

執筆:イラストレーター・ライター 菊地至

『空調設備の基礎講座』の目次

第1章 空調設備を学ぶ前に

第2章 空調方式

第3章 熱源と主要機器

第4章 熱搬送設備

第5章 空調設備と省エネ

第6章 個別暖房と直接暖房

第7章 換気設備

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